小此木潔(おこのぎ・きよし) ジャーナリスト、元上智大学教授
群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。経済部員、ニューヨーク支局員などを経て、論説委員、編集委員を務めた。2014~22年3月、上智大学教授(政策ジャーナリズム論)。著書に『財政構造改革』『消費税をどうするか』(いずれも岩波新書)、『デフレ論争のABC』(岩波ブックレット)など。監訳書に『危機と決断―バーナンキ回顧録』(角川書店)。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
この秋には政府が消費増税をめぐる政策判断をする。そこでは、経済成長と増税を両立させることができるかどうか、が問われることになろう。
しかし、いまのままでは脱デフレの展望を欠いたまま、消費低迷・格差拡大の引き金を引くような消費増税路線に陥る懸念がぬぐえない。参院選では、各政党がこうした状況を踏まえて「成長と財政の両立へ、政府は何をすべきか、政策はどうあるべきか」をおおいに競い合うべきである。
日銀が7月1日に発表した短観は、輸出関連の大企業や公共事業を支えに景気回復を映し出した。このことは、参院選後に明らかとなる日本の4~6月の国内総生産(GDP)も堅調なものとなる可能性を示唆している。
となると、消費税率の引き上げを判断するこの秋の段階では、欧州経済危機の深刻化など外的ショックがない限り、日本経済はそこそこのプラス成長を続けているだろう。すなわち、「景気が悪いから、来春の消費増税は当分、見合わせる」といった決定はしづらい。
政府は、国際通貨基金(IMF)や経済協力開発機構(OECD)が求めているように、来年4月に消費税率を現行の5%から8%に引き上げ、翌年10月には10%にする消費増税を予定通り実施するという決断をする公算が大きい。
自民党の政治家などからは、
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