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 3月と5月の来日時に消費増税について聞いたところ、教授は「財政再建は必要だが、タイミングが問題」とし、「増税は時期尚早」と繰り返した。

 しかも、「消費税は、貧しい人びとの負担がきついという逆進性を持つ悪税。デフレを悪化させる。日本は来春の消費増税を計画しているが、おそらく時期尚早。まずは経済の成長を回復し、それから増税するのが順当なやり方だ」と述べたばかりか、「増税するなら消費税ではなく(化石燃料の消費に課す)炭素税を導入すべきだ。逆進的ではないし、二酸化炭素の排出を減らしたり、エネルギー効率をよくしたりするための技術開発や設備投資が進むから、経済にもプラスである」と、別のやり方を勧めたのである。

 しかしながら、あえて消費税を引き上げるとしたら、何をすべきかと聞いたところ、「増税による税収の増加分と同じ額だけ支出を増やせば、経済への打撃を避けることができる。これは、均衡予算乗数という考えだ。そのさい、低所得の人びとへの再分配につながる支出をすれば、消費やGDPをいっそう増やす効果がある。企業減税で刺激をというのでは、効果を期待できない」という答えが返ってきた。

 教授の考えは筆者なりに良く理解できたつもりだ。著書「世界の99%を貧困にする経済」で強調しているように、 ・・・ログインして読む
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筆者

小此木潔

小此木潔(おこのぎ・きよし) 上智大学教授(政策ジャーナリズム論)、元朝日新聞論説委員

上智大学教授。群馬県生まれ。1975年朝日新聞入社。富山、奈良、大阪、ニューヨーク、静岡、東京で記者をしてきた。近年は日本の経済政策や世界金融危機など取材。2009年5月から東京本社論説委員室勤務、11年4月からは編集委員も務め、14年4月から現職。著書に「財政構造改革」「消費税をどうするか」(いずれも岩波新書)、「デフレ論争のABC」(岩波ブックレット)。

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