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アベノミクスの陰に隠されているもの

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

大多数の国民が忘れていること

 今回の参議院選挙の結果、向こう3年間は、補欠選挙を除き、国政選挙がない可能性が高い。自公与党が参議院で242議席中の135議席と、絶対安定多数の140議席には達しないものの、129議席の安定多数を超え、衆議院では絶対安定多数の269議席を既に大きく超えているからである。与党にとっては、国会運営は非常に楽になったと言えよう。

 原発再稼働、TPP、消費税増税などには触れず、日本の選挙報道は『アベノミックス』 一色に塗り潰されたかの感があった。大きく報道されないことは、大多数の日本国民にとっては、存在しないかに等しい。

 参議院選挙投票日の直前の7月18日(木)には、福島第1原発第3号機から蒸気が吹き上がっていることが、イギリスのBBCなどの海外マスコミでは大きく報道された。しかし、日本では大きく報道されることは全く無く、大事ではないように受けとられている。

 ちなみに、日本では、原子力災害対策特別措置法に基づいた原子力緊急事態宣言が2011年3月11日の午後7時18分に発動され、未だに解除されていないという。未だに、事故現場からは、大量の放射能が大気中、地下水脈、海水中に放出されていることを、事故当事者の東京電力自体が認めているのだから、緊急事態宣言が解除されないのは、余りにも当然である。

 しかし、この事実を認識し、そのことを当然なのだと客観的に考える国民は、依然として少数派である。広汎に報道されないために、事実関係を把握している専門家らと、結果的に無知のままに置かれている大多数の国民との間で、大きな亀裂が生じていると言えよう。

 筆者は機会があるごとに繰り返し言及して来たが、チェルノブイリ事故後のウクライナ、ロシアなどの経験が示すように、事故による放射能被害の影響は、1年や2年では全貌を表わさない。5年、10年、15年、半世紀の長期の時間がかかる。気がついた時には手遅れである。

 しかも、チェルノブイリ事故のように、事故後半年で事故原発が巨大な『石棺』で覆われて、放射能の新規な拡散が止まった訳ではなく、前記のように、福島第1原発事故による放射能拡散は、事故後2年半の現在も、拡大進行中である。

1787万人が年収2百万円以下

 安倍政権下の日本国民の分断・2極化の問題は、放射能の分野に限られた問題だけでなく、経済階層の分化と、それに伴う日本経済の大きな変質に関わる問題である。

 1980年代の男女雇用機会均等化、

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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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