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『会長 島耕作』よ、団塊世代の前途を提示せよ

常見陽平 評論家(雇用・労働、キャリア、若者論)

 最初に言っておく。私は島耕作シリーズの大ファンだ。外伝的なヤング編も含め、全巻持っている。総集編的な本まで持っている。サラリーマンの夢、男の夢である成功・出世・情愛というトリコロールを具現化したものだと解釈している。

 そんな中、ついに『社長 島耕作』が終了した。平成25年のテコット株式会社の株主総会にて、同社の社長である島耕作は辞任を表明した。5年にわたり、同社の社長を務めてきたが、2期連続の大幅赤字の責任をとり、万亀会長とともに退任を表明した。今後は会長に就任する。後任は専務取締役の国分圭太郎氏である。

 『会長 島耕作』は売れるのか? 結論から言うと、売れるだろう。なぜなら、いまだにファンがそれなりにいるからだ。ただ、大ヒットになるかどうかでいうと疑問である。サラリーマン像を描いた作品と紹介される島耕作だが、取締役編くらいから、世間のサラリーマンとはとっくにずれている。

 部長編くらいまでは左遷の描写などもあり、共感を得ることができたが、気づけば、自分たちとは別の世界の人を描く漫画になっていた。それはそれで面白かった。途中からはビジネス雑誌の漫画版となっていた。M&A、新興国ビジネス、日中問題など、読んでいてためになるものではあった。

 しかし、世の中は普通の人で動いている。課長編、部長編あたりまでは等身大の自分だったが、だんだんお伽話になっていったのだった。ついでに言うならば、あんなに若々しい60代はいない。

 著者自身が最終回に登場し、普通に描けば会長編はつまらなくなるだろうと自ら言っている。たくさんの会合に出席し、ゆるい発言をする役になることは目に見えているからだ。そんなものが面白いわけがない。

 女性関係、性的な描写も島耕作シリーズが批判される部分であり、魅力の一つだったが、長年の恋人大町久美子と結婚したし、なんせ高齢者なのでそんなシーンは期待できない。

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筆者

常見陽平

常見陽平(つねみ・ようへい) 評論家(雇用・労働、キャリア、若者論)

人材コンサルタント。株式会社クオリティ・オブ・ライフ フェロー。HR総合調査研究所客員研究員。実践女子大学・白百合女子大学・武蔵野美術大学非常勤講師。北海道札幌市出身。一橋大学卒業後、株式会社リクルート入社。とらばーゆ編集部、トヨタ自動車との合弁会社などを経て、玩具メーカーに移り新卒採用を担当。2009年株式会社クオリティ・オブ・ライフに参加。2012年に退社し、フェロー。就活、サラリーマンの今後をメインテーマに講演、執筆、研究・調査、コンサルティングなどに注力し、面白い社会人をデビューさせるべく奮闘中。著書に『「就社志向」の研究』、『普通に働け』など多数。最新刊に『アラフォー男子の憂鬱』(共著)

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