2013年08月03日
最初に言っておく。私は島耕作シリーズの大ファンだ。外伝的なヤング編も含め、全巻持っている。総集編的な本まで持っている。サラリーマンの夢、男の夢である成功・出世・情愛というトリコロールを具現化したものだと解釈している。
そんな中、ついに『社長 島耕作』が終了した。平成25年のテコット株式会社の株主総会にて、同社の社長である島耕作は辞任を表明した。5年にわたり、同社の社長を務めてきたが、2期連続の大幅赤字の責任をとり、万亀会長とともに退任を表明した。今後は会長に就任する。後任は専務取締役の国分圭太郎氏である。
『会長 島耕作』は売れるのか? 結論から言うと、売れるだろう。なぜなら、いまだにファンがそれなりにいるからだ。ただ、大ヒットになるかどうかでいうと疑問である。サラリーマン像を描いた作品と紹介される島耕作だが、取締役編くらいから、世間のサラリーマンとはとっくにずれている。
部長編くらいまでは左遷の描写などもあり、共感を得ることができたが、気づけば、自分たちとは別の世界の人を描く漫画になっていた。それはそれで面白かった。途中からはビジネス雑誌の漫画版となっていた。M&A、新興国ビジネス、日中問題など、読んでいてためになるものではあった。
しかし、世の中は普通の人で動いている。課長編、部長編あたりまでは等身大の自分だったが、だんだんお伽話になっていったのだった。ついでに言うならば、あんなに若々しい60代はいない。
著者自身が最終回に登場し、普通に描けば会長編はつまらなくなるだろうと自ら言っている。たくさんの会合に出席し、ゆるい発言をする役になることは目に見えているからだ。そんなものが面白いわけがない。
女性関係、性的な描写も島耕作シリーズが批判される部分であり、魅力の一つだったが、長年の恋人大町久美子と結婚したし、なんせ高齢者なのでそんなシーンは期待できない。
ここで期待したいのは、
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