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脱原発はすでに達成されている 

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 「脱原発」をなすすべきか、否かの議論が喧しい。しかし、日本の脱原発は、実質的には既に達成されていると言えよう。

 昨年(2012年)5月5日に、北海道電力の泊原発第3号機が、『定期点検』のために稼働停止されて以降は、日本にある商用原発54機の全てが稼働停止された時点である。日本の商用原発は、東日本大震災・福島第1原発事故以降は、次々に定期点検に入った後は、再稼働されていなかったからである。

 例外は、「電力不足」を大義名分に、無理やりに昨年7月に再稼働した関西電力の2機(大飯原発3号機・4号機)だけである。

 しかし、電力不足も、「ウソ」であった事が、一部の識者には事前に、一般人にも事後的に判明している。

 筆者自身も、福島第1原発事故直後の2011年6月11日(土)の朝日新聞朝刊のオピニオン面の『私の視点』欄に、『原発なき電力供給は目前・・・エネルギー政策』と題して寄稿した。日本国中が、原発が止まれば電気が足りなくなるとの大合唱で喧しかった最中であった。筆者は、経済界、一般国民の皆さん、何の心配も要りません、電気は足ります、との太鼓判を押した訳であった。

 事実は、筆者の指摘どおりに展開して来た。2年前の電力需要の高かった夏も、昨年の夏も、何らの電力不足による停電も発生しなかった。今年の夏も、電力各社の電力供給能力は余裕を持って推移している。(電力各社自身の刻々の公表データ)

 手品のような話の種明かしは、非常に簡単な事である。

 日本には、原発の4倍もの膨大な火力発電設備能力があり、しかも、原発事故前には、原発の設備稼働率は半分、火力も半分に過ぎなかった。したがって、原発が全面的に停止しても、火力の稼働率を少々上げれば、電力不足など起きようがないのである。

 この事は、秘密でも何でもなく、日本政府の経済産業省資源エネルギー庁のWebページに、無料公開されている統計表一覧を眺めれば、小学生・中学生でも分かる程度の事である。

 以下にリンクを記すので、読者の皆さんも、御自分で、掲載されている各統計表を御覧になる事をお薦めしたい。(http://www.enecho.meti.go.jp/info/statistics/denryoku/result-2.htm

 ところが、参議院選挙明けには、休止中の原発再稼働の申請が、各電力会社から相次いでいる。あたかも、原発を再稼働しないと、電力需給は逼迫しているかのように。これも、上記のように真実ではない。

 問題は、

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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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