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ビッグデータで、究極の「勝ち組」狙う米IT企業

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 ビッグデータ()の収集や活用に、世界の関心が集まっている。個人の購買履歴を生かすマーケティング、交通や医療などの社会システム、ツイッターでの選挙情勢分析、果ては国家機関による秘密の個人情報収集と、その範囲は広がる一方だ。

 ビッグデータに世界の企業が参入する中で、すでに大量の個人情報を集めるシステムを持ち、高度な分析技術を誇る「IT勝ち組」が存在する。

 グーグル、アマゾン、ヤフー、アップル、フェイスブック、ツイッターなど米国のIT企業がそれだ。データ分析の専門家(データ・サイエンティスト)を大量に採用し、IT政策に力を入れる米政府と持ちつ持たれつ、ビッグデータ市場の世界制覇を狙っている。

グラフ1
 グラフ1に見るように世界のデジタル情報量は今後急激に増え、一方で情報処理の費用は逆に大幅に安くなる。「ゼタ」は10の21乗という途方もない単位で、デジタル情報の多くがビッグデータだ。

 そのソフトやハードの市場規模の予測を示したのがグラフ2。世界市場は日本の約6倍の規模で急速に成長する。他社より多くのビッグデータを握り、早く分析技術を確立して地歩を固めたものが有利になることは、一目瞭然だ。

グラフ2

 8月3日、アップルとサムスンのスマホ特許を巡る紛争で、サムスンの主張を認めた米国際貿易委員会(ITC)の決定を、米政府が覆すという異例の出来事があった。普通はITCの決定がそのまま米政府の決定になる。拒否は26年ぶりだという。

  米政府がそれほどアップルを守る姿勢を示した背景には、米中央情報局(CIA)の元職員エドワード・スノーデン氏の告発で浮かび上がった米政府とIT企業のただならぬ関係が見え隠れする。

 スノーデン氏は「CIAと米国家安全保障局(NSA)がメールやネット検索履歴など、あらゆる個人情報を調べている」と暴露した。情報収集に協力した企業として、アップルはじめ、グーグル、ヤフー、フェイスブック、マイクロソフト、ユーチューブ、スカイプなど米IT企業の名前が浮上した。

 これらの企業は米政府による「テロ防止」の要請を受け入れ、

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