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大学生の新聞離れ、学割では食い止められない

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

 電気代、ガソリン代、乳製品など物価上昇はほぼ全国一律で起きる。しかし各世帯の家計収入、懐具合は一律には変化しない。賃金水準が全国平均より低く、不動産価格や株価上昇の恩恵を受けにくい大都市圏以外の住民では負担感は強まる。

 さらに消費税率が5%から6%であれ、予定通り8%であれ、上昇が決まれば、家計支出を見直す機会にならざるをえない。これに対して、日本新聞協会は、新聞、書籍、雑誌には消費税の軽減税率を適用するよう求めている。

 大学で10代、20代の学生たちに接していると、新聞を読まない層、購読しない層が確実に増えていることを痛感させられる。学生の多くは新聞を読んでいないことを前提に授業を行っている。

 このため、レポートの参考文献に紙媒体を指定し、新聞を授業中、回覧してみたりしている。「授業を通じて久しぶりに新聞に目を通した。有益な情報源だと思うが、そのことを若者にいかに浸透させていくかが新聞社の課題である」との履修者の声もあった。

 家計支出との関係では、「大学後、家族が話し合って実家でも購読をやめた」という声もあった。学生だけではなく二世代にわたって、「ニュース」というサービスに対価を支払うという慣習が消滅し始めている。消費税が引き上げられたとき、新聞の購読料が、家計の見直しの対象となる可能性が高いと考えるのも当然だろう。

50歳以上で情報源としてのインターネット回答が大幅増

 そうした現場の感覚を補うアンケート結果が出た。経団連の関連団体、経済広報センター(米倉弘昌会長)が作成した「情報源に関する意識・実態調査報告書」である。このアンケートは世代別の集計結果が公表されている。

 29歳以下と30歳代では、

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