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4~6月期の企業決算と、スティーブ・ジョブズ6年前の予言

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 企業の4-6月期決算が出そろった。前年より好決算の企業が増えているが、際立ったのがスマホ対応による明暗だ。この大波に上手く乗ったかどうかで、大手電機、電子部品、素材、半導体、ゲームの各業界は業績が2極化した。

 スティーブ・ジョブズは2007年のiPhone発表会で、「(産業界では)数年に一度、すべてを変える製品が現れる」と語っていた。スマホは日常生活だけでなく、世界の産業勢力図まで塗り変えている。彼が行った「創造的破壊」の威力を今更ながら実感する。

 まず大手電機。ソニーはNTTドコモの「ツートップ戦略」に採用された「エクスペリア」が日欧でよく売れた。スマホのカメラ用イメージセンサーも好調で、夏休み返上のフル操業だ。シャープは得意のIGZO技術を生かしたスマホ向け中小型液晶パネルの売れ行きが伸びている。

 東芝はスマホのデータ記録に使われるフラッシュメモリーが好調。今は世界シェア2位(31%)だが、米企業のサンディスクと共同で三重県に最先端工場を建設し、首位のサムスン電子(37%)を追う。

 一方、辛酸をなめたのがNECで、スマホ事業からの撤退を発表した。スマホ参入が他社より3年も遅れ「魅力ある商品を開発できなかった」と自省する。一時は国内携帯で20%超のシェアを誇り、独自技術には定評があった。NECは昔からのNTTファミリー企業だが、ツートップ戦略から外され、そのショックも撤退を促した。

 米調査会社IDCによると、今年のスマホの世界出荷台数予測は9億5880万台で、前年より32.7%増える。新興国の伸び率は先進国の3倍以上あり、今後5年間ぐらいは高い成長率を維持しそうだ。

 日本企業のスマホ頼みは今後も続きそうだが、スマホ価格が今後下落するのは確実で、一層のコスト削減や高付加価値化の努力が必要になる。

 グラフは今年4~6月期のスマホの世界シェアを示す。1位サムスンと2位アップルで利益をほぼ独占し、サムスンは52億ドル、アップルは46億ドルを稼いだ。3位以下(韓国LG、レノボ、ハーウェイ、ソニー、富士通、ノキア、ブラックベリー)は、押しつぶされそうになりながら収支ぎりぎりで競っている。ブラックベリーには身売り話まで出ている。

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 スマホが売れるのと反対に、

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筆者

木代泰之

木代泰之(きしろ・やすゆき) 経済・科学ジャーナリスト

経済・科学ジャーナリスト。東京大学工学部航空学科卒。NECで技術者として勤務の後、朝日新聞社に入社。主に経済記者として財務省、経済産業省、電力・石油、証券業界などを取材。現在は多様な業種の企業人や研究者らと組織する「イノベーション実践研究会」座長として、技術革新、経営刷新、政策展開について研究提言活動を続けている。著書に「自民党税制調査会」、「500兆円の奢り」(共著)など。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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