2013年09月05日
内閣府が実施した6日間、60人に及ぶ消費税ヒアリングが終わった。ヒアリング全体は、反対が上回る報道機関が実施する世論調査に対して、消費税の予定通りの実施を支持する対照的ものだった。財務省など消費税増税関係者はほっとしたことだろう。
だが、筆者には、ヒアリングそのものが奇異なものに映った。
まずは政府側の出席者である。麻生副総理、甘利経済財政担当大臣、黒田日銀総裁らが出席したが、肝心の安倍首相は外遊で出席しなかった。
それから、首相ブレーンである内閣官房参与の浜田宏一・米エール大名誉教授、同本田悦朗・静岡県立大学教授が含まれ、業界団体や学識者、エコノミストらと同様に意見を述べた。外部のエコノミストと同列で意見を聞いたのであれば、安倍首相は、ブレーンを信頼していないのかと疑いたくもなる。
アベノミクスの1本目の矢、金融政策(インフレターゲットや異次元の金融緩和)への誘導がわかりやすかっただけに、財政政策の利害関係者が多様で、消費税は国民全員に負担を強いる政策だとしても、政策形成としては、実にわかりにくい。ただし、首相不在のヒアリングが、あっと驚く「消費税延期」のカモフラージュだったとしたら、安倍首相は歴史に名を残す首相になれるかもしれない。
安倍政権が経済政策を最重要して国政選挙で2連勝し、衆参とも過半数を獲得した。安倍政権の支持率は、経済政策や景気が支えていると言っても過言ではない。3月、黒田総裁を日本銀行総裁に任命して、長期国債のほか、上場投資信託(ETF)、上場不動産投資信託(J―REIT)、コマーシャルペーパー(CP)、社債などの買い入れと異例の量的緩和を実施・継続している。黒田日銀は、2年以内に物価上昇率2%を目標においている。
さらに、昨年成立した消費税改定法案では、
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