2013年09月09日
消費税を増税するかしないか、かんかんがくがくの議論となっている。反対派は97年増税で不況になったことから、不安になっている。賛成派は、財政規律を高めるために増税しなければならない、増税しなければマーケットで金利が高騰するなど、何が起きるか分からないという。
まず、反対派の考えから検討しよう。
何よりも、安倍総理自身の今後の立場が心配されている。せっかく大胆な金融緩和で景気が良くなり、長期政権も見えてきたのに、経済が失速すれば安倍おろしにならないかということだろう。
普通に考えれば、安倍総理に対抗できる勢力は増税派であって、増税して失敗したら増税派に代われとは理屈に合わないが、政治は何でもありの世界である。総理が用心深くなるのは当然だ。
私自身は、97年と98年の経済失速の原因は合わせ技で、消費税増税だけで起きたことではないと思う。
失速の原因の第1は、3%から5%への消費税増税で5兆円の財政緊縮を行ったからである。
第2に、さらに3兆円の年金保険料負担増と1兆円の公共事業費削減があった。これで合わせて9兆円の財政緊縮になる(13兆円という数字もあるが、これは大きすぎる推定値だと思う)。
第3に、97年7月以降、アジア通貨危機があった。
第4に、97年11月以降の金融システム危機があった。
さらに、第5に、金融危機にもかかわらず日本銀行がマネタリーベースを伸ばさなかったという事実上の金融引締めがあった。残念ながら、この第5の原因は広くは認識されていない。
増税賛成派は、今回は5つの原因のうち4つがないから大丈夫という。さらに、不況回避を確実なものとするために、消費税を増税して、その分を景気対策に使えば良いともいう。
しかし、増税して歳出を増やすのでは、
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