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若田部教授が徹底解説 消費税増税を決める前に考えておくべきこと Q&A(上)

若田部昌澄 早稲田大学政治経済学術院教授(経済学史)

 Q:消費増税について議論が盛り上がっています。消費増税については、どう考えるべきでしょうか。予定通りに進めるべきでしょうか、それとも別の案が望ましいでしょうか。

 A:私は、基本的に日本経済がデフレから脱却し、経済が巡航速度に入るまでは、消費増税のような負の影響をもつマクロ経済政策はしてはいけないと考えています。

 この問題は、今の日本経済の最重要課題を何とみなすかに関わっています。私は「まずデフレをとめよ」、と10年ほど言ってきました一人なので、デフレからの脱却を最優先に考えますし、デフレ脱却を優先するアベノミクスの基本的な方針には賛成です。

 そういう理由は単純で、デフレのもとでは財政再建はおぼつかないからです。財政再建には、

(1)名目経済成長率の引き上げ、

(2)歳出の削減努力、

(3)政府資産の整理・売却、

(4)制度改革、

そして、(5)増税が必要です。

 このうち、(1)は財政再建の必要条件だと思います。デフレで名目経済成長率が低迷している状況では、再び経済成長率が下がり、デフレから脱却できず、結果として財政再建が再び遠のく可能性があります。

 アベノミクスの要点は、第一の矢をはじめとして、人々の予想に働きかけるところにあります。現状ではいよいよデフレから抜け出すかもしれないという予想が定着しつつあるところです。それに対して、ここで逆の方向の政策を行うならば、そういう動きに水を差されてしまうという懸念があります。

 ただ、誤解のないように申し上げますが、まったく増税しないといっているわけではありません。手段としての増税はありうるとして、その使い方のタイミングには慎重を期すべきということです(若田部昌澄「増税はアベノミクス最大のリスクである」『中央公論』10月号、72~77頁)。

 :そういう考え方の基礎にあるケインズ経済学はもはや「古い」のではないでしょうか。

 :デフレの時の緊縮財政の危険性は、いわゆるケインズ経済学を前提としなくても出てくる話です。今のように名目金利がゼロに近いときには財政政策の効果が大きくなるという話も、 ・・・ログインして読む
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筆者

若田部昌澄

若田部昌澄(わかたべ・まさずみ) 早稲田大学政治経済学術院教授(経済学史)

早稲田大学政治経済学術院教授。1987年早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院経済学研究科、トロント大学経済学大学院に学ぶ。ケンブリッジ大学、ジョージ・メイソン大学、コロンビア大学客員研究員を歴任。専攻は経済学史。著書に『経済学者たちの闘い』(東洋経済新報社、2003年:増補版、2013年)、『危機の経済政策』(日本評論社、2009年:第31回石橋湛山賞)。共著に『昭和恐慌の研究』(東洋経済新報社、2004年:第47回日経・経済図書文化賞)。

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