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これは「官製粉飾」だ 原発の「廃炉会計」の疑問(上)

松浦新 朝日新聞経済部記者

 経済産業省は原子力発電所が想定より早く発電をやめた場合に出る損失を電力会社の責任とはせず、消費者から電気料金として集めることを10月1日付けの省令改正で認めた。福島原発事故を受けて、従来より規制が強化されたことで、運転を続けられない原発が出ると見られているためだ。これは、従来の甘い規制でなければ運転できない危険な原発があったことの裏返しだが、そのつけは電力会社が負わず、消費者に回されることになる。

 このテーマは、筆者のツイート(@newsmatsuura)の中ではリツイートが多かったため、改めて論点をまとめてみた。2回に分けてお伝えする。

論点(1) 原発のコストは本当に低いのか

 原発を廃炉にすると、1基あたり1000億円単位の損失が出る。通常の企業であればこれは企業の失敗なので、消費者に転嫁するようなことはできず、「特別損失」として処理される。

 例えば、電機メーカーの携帯電話が思ったように売れずに工場を閉鎖したとする。それは経営者の投資判断の誤りの結果なので、閉鎖に伴う損失は誰も負担してくれない。投資判断の誤りが続く会社は倒産することもある。

 ところが、電力会社の場合は経産省がルールを変えて、発電できない発電所の費用も消費者から集めてよいと認めたのだ。通常の企業であれば消費者が離れるところだが、電気は事実上の独占で販売されているため、例えば東京電力の電気は買いたくないと思っても一般消費者はほかに選択肢が与えられていない。

 これまで原発は、「発電コストが安い」と位置づけられてきた。安いのであれば、発電を終えた後も料金をとり続けるようなことをせず、その分を発電している時に織り込んで料金に反映させてもよいはずだ。しかし、

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筆者

松浦新

松浦新(まつうら・しん) 朝日新聞経済部記者

1962年生まれ。NHK記者から89年に朝日新聞社に転じる。くらし編集部(現・文化くらしセンター)、週刊朝日編集部、オピニオン編集部、特別報道部、東京本社さいたま総局などを経て現在は経済部に所属。共著に社会保障制度のゆがみを書いた『ルポ 老人地獄』(文春新書)、『ルポ 税金地獄』(文春新書)、『負動産時代』(朝日新書)などがある。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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