メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

news letter
RSS

「墓場」がなければ負担増 原発の「廃炉会計」の疑問(下)

松浦新 朝日新聞経済部記者

 経済産業省は原発を廃炉にする際に、本来なら損失になる会計処理を変えて、発電をしていない原発にかかる費用も電気料金で取れるよう省令を変更した。このテーマは、筆者のツイート(@newsmatsuura)の中ではリツイートが多かったため、論点をまとめた。今回は2回目。

論点(4) 日本には原発を廃炉にした実績がない

 日本には、廃炉にすることを決めた原発はあるが、廃炉を終えた原発はない。廃炉の第一号は日本初の商業用原発だった日本原電の東海原発(茨城県東海村)だった。98年に運転を停止して、現在にいたっている。

 これに対して、通産省(現経産省)の対応は後手に回った。同省の総合エネルギー調査会原子力部会は、その前年に取りまとめた報告書で「大きな課題として残されたのが廃棄物の処分問題である」と指摘するのがやっとの状態だったのだ。

 その後、東海原発は98年3月に発電を終える。ところが、廃炉の際に出る核廃棄物の処理とその費用について、総合エネ調の原子力部会が「商業用原子力発電施設解体廃棄物の処理処分に向けて」としてとりまとめたのは、1年以上が過ぎた99年5月のことだった。原子炉等規制法が改正され、原子炉の廃止措置認可制度として整ったのはさらに遅れ、2005年になった。

 このため、日本原電が「原子炉解体届」を出したのは2001年になってからとなった。その時の計画では11年12月に原子炉の解体に取りかかることになっていたが、現在もまだ、東海原発の原子炉の解体は始まっていない。そして、この時の発表では、廃炉費用は927億円とされていた。

 ところが、原子炉等規制法の改正を受けて06年に経産省の認可を受けた時の費用は885億円に下がる。日本原電によれば「この間に人件費や資機材費が下がった」という。さらに、11年度からの原子炉解体着手は、10年7月には2014年度からに延期される。日本原電は「解体撤去物等搬出装置の導入の準備に時間を要しているため」と説明するが、まさに泥縄ではないか。

 原子炉の解体は、非常に高い放射能をおびた炉心部分の廃棄をともなうため、廃棄場所の確保が必要だ。経産省と電力会社は廃炉にともなう廃棄物を「低レベル放射性廃棄物」と位置づける。しかし、

・・・ログインして読む
(残り:約1827文字/本文:約2766文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。


筆者

松浦新

松浦新(まつうら・しん) 朝日新聞経済部記者

1962年生まれ。NHK記者から89年に朝日新聞社に転じる。経済部、くらし編集部(現・文化くらしセンター)、週刊朝日編集部、特別報道部などを経て、現在は東京本社報道局経済部に所属。年金、医療をはじめとした社会保障制度に関心を持つ。金融商品や土地・住宅問題など、くらしと経済に関わる問題に関心がある。

松浦新の記事

もっと見る