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 自民党の西川公也TPP対策委員長が、いわゆる聖域とされる重要5品目の見直しに言及したことが、自民党や農業団体に公約違反ではないかとして、混乱を招いている。

 重要5品目とは、コメ、麦、乳製品、牛肉・豚肉、砂糖・でんぷんを指す。しかし、関税分類では、加工の程度や成分によって多数に分類される。例えば、コメでは、玄米、精米、米粉、もち、だんご、せんべい、米菓の生地、米粉調製品など58品目ある。

 重要5品目全体では586品目で、工業品も入れた全品目の6.5%を占める。これを全て除外すると、関税撤廃品目の割合を示す“自由化率”は93.5%となる。これ以外にも、コンニャクなどこれまでの交渉で関税を撤廃したことのない品目をあわせて除外すると、自由化率は89.7%に下がる。

 これは98%程度の自由化率を目指しているTPP交渉の相場とあまりにもかけ離れている。したがって、重要5品目などの関税品目の圧縮を検討しようとしたのである。

 しかし、まず、品目の絞り込みは可能なのだろうか?加工品や“調製品”が重要5品目から除外されるとする報道がある。調製品とは、コメ、麦、乳製品、牛肉・豚肉、砂糖・でんぷんなどを混ぜ合わせて輸入されるものである。どれが主たる産品かに応じて関税は異なる。米粉が主である調製品の関税は、コメの関税から計算されている。

 もち、だんご、せんべいなどの加工品の関税が撤廃されれば、その加工品に使われたコメの生産量はなくなってしまう。調製品は、そのものとして使用されるというより、国内で分離して使用される。今政府は多額の予算を投じて米粉用のコメの生産を推進しているが、調製品の関税が撤廃されれば、それは困難となる。

 これまで、農政は、調製品にさんざん悩まされてきた。バターとマーガリンを組み合わせた“調整食用脂”、ココアを粉乳に交ぜただけの“ココア調製品”は、これらの産品の安い関税を利用して、

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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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