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なかなか人々に評価されない?量的金融緩和政策(上)

吉松崇 経済金融アナリスト

 2008年の金融危機からの3年間で、FRB(米連邦準備制度理事会)、バンク・オブ・イングランド、欧州中央銀行といった先進国の主要な中央銀行は、日銀を除いて、大量に国債を購入してマネタリー・ベース、つまり中央銀行のバランス・シートを2~3倍へと著しく拡大した。いわゆる金融の量的緩和(QE: Quantitative Easing)である。

 とりわけFRBは、さらに昨年の秋以降、量的緩和を一段と進めて(いわゆる“QE3”)、本年9月末のマネタリー・ベースは約3兆5,000億ドルと、金融危機以前と比べて4倍を大きく超える水準となっている。

 因みに、本年4月の黒田日銀による「量的・質的金融緩和」の導入以降のマネタリー・ベースの前年同月比の伸び率では、日銀の伸び率は46%で、FRBの伸び率34%を上回っている。

量的緩和に冷淡なアメリカの人々

 アメリカの場合、最近、FRBが量的緩和のペースを縮小するのではないかという観測が話題になったぐらいだから、足元で実体経済の様々な指標が上向いて来ている。おそらく、アメリカの大学・大学院で標準的な経済学のトレーニングを受けたエコノミストの大多数は、足元の景気の回復が量的金融緩和の効果であることに異を唱えないだろう。

 それでは、エコノミストではない一般の人々はどうだろうか?ニューヨーク・タイムズとCBSによる9月中旬の世論調査によると、FRBの金融緩和政策の効果に肯定的な人は、「大きな効果があった」(5%)と「或る程度効果があった」(27%)を併せても僅か3分の1であり、残りの3分の2は「効果がない」若しくは「分からない」と答えている。量的金融緩和政策に対する人々の評価は驚くほど低い。(”Majority of Americans Doubt Benefits of Fed Stimulus” by Binyamin Appelbaum, September 25, 2013 New York Times

 確かに、金融政策の有効性を理解するためには、最低限のマクロ経済学の知識が必要であり、これを、そのような教育を受けたことのない人に求めても

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筆者

吉松崇

吉松崇(よしまつ・たかし) 経済金融アナリスト

1951年生まれ。1974年東京大学教養学部卒業。1979年シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、リーマン・ブラザース等にて30年以上にわたり企業金融と資本市場業務に従事。10年間の在米勤務(ニューヨーク)を経験。2011年より、経済・金融の分野で執筆活動を行う。著書:『労働者の味方をやめた世界の左派政党』 (PHP新書、2019年)、『大格差社会アメリカの資本主義』(日経プレミアシリーズ、2015年)。共著:『アベノミクスは進化する』(中央経済社、2017年)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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