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なかなか人々に評価されない?量的金融緩和政策(下)

吉松崇 経済金融アナリスト

金融緩和政策の恩恵は金持ちだけが受ける訳ではない

 一方、所得水準の違いが、この調査の結果に反映されるのは、当然かも知れない。量的緩和に伴う株価や地価の上昇で最初に恩恵を被るのは富裕層だからだ。また、長期金利の低下で、住宅ローンの低金利での借り換えの恩恵を受けた人も富裕層のほうが多いだろう。皮膚感覚で、最初に恩恵を感じるのは金持ちである。

 しかし、だからと言って金持ちだけが恩恵を受けている訳ではない。実際、失業率は低下している。生産も上向いている。このように様々な経済指標が上向いているということは、その恩恵は全ての人に行き渡っているということだ。人々が皮膚感覚で恩恵を感じることが出来ないのは、景気の回復がまだ十分ではないからだ。失業率は、低下したと言っても未だ7%台である。

 それにしても、一般には金持ちの利害を代表している考えられる共和党の支持者の間で、金融緩和が不人気だというのは不思議な現象である。草の根の支持者の間で、それだけアンチ・エスタブリッシュメント感情が強いということなのだろう。しかし、政治指導者は共和党でも民主党でもエスタブリッシュメントだ。指導者と支持者との間の分裂があまりに深刻になると、これが政策アジェンダや政治行動に表れる。最近の予算とデット・シーリングを巡る共和党の対応は、この政党の病状が深刻なことを示している。

日本の世論調査では?

 安倍首相は依然として60%を超える高い支持率を維持している。その理由はなんといってもアベノミックスである。アベノミックスは、その成長戦略は既得権に十分に切り込んでいないと批判され、

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筆者

吉松崇

吉松崇(よしまつ・たかし) 経済金融アナリスト

1951年生まれ。1974年東京大学教養学部卒業。1979年シカゴ大学経営大学院(MBA)修了。日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)、リーマン・ブラザース等にて30年以上にわたり企業金融と資本市場業務に従事。10年間の在米勤務(ニューヨーク)を経験。2011年より、経済・金融の分野で執筆活動を行う。著書:『労働者の味方をやめた世界の左派政党』 (PHP新書、2019年)、『大格差社会アメリカの資本主義』(日経プレミアシリーズ、2015年)。共著:『アベノミクスは進化する』(中央経済社、2017年)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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