メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

迷走激しい米共和党(上)

吉松崇 経済金融アナリスト

 こういうのを自爆というのだろう。アメリカ議会で共和党が予算案とデット・シーリング(債務上限法)を人質にとって、いわゆる“オバマケア”の実施の延期と変更を求め、10月1日から政府機能が一部閉鎖されたが、この事態を受けて行われた世論調査で共和党の支持率が暴落している。

 10月9日にギャラップ社が発表した政党別支持率は、民主党の43%に対して共和党は28%となり、既に下落の始まっていた前月の38%から更に10ポイントの急低下となった。また、NBCとウォール・ストリート・ジャーナルの世論調査では、「政府閉鎖という事態に陥った責任は誰にあると思うか?」という質問に対し、53%が共和党にあると答え、大統領に責任があると答えた人は31%であった。

http://www.gallup.com/poll/165317/republican-party-favorability-sinks-record-low.aspx
http://firstread.nbcnews.com/_news/2013/10/10/20903624-nbcwsj-poll-shutdown-debate-damages-gop?lite

共和党の政治行動は明らかに無分別だ

 10月17日の期限ギリギリになって、デット・シーリング問題でようやく両党の妥協が図られ、デフォルト(国債の債務不履行)が回避された。そもそも、連邦債務、つまりアメリカ国債に発行上限を設けたのは、財政規律を維持することがその立法趣旨であろう。財政規律を求めて国債がデフォルトするとは、何というブラック・ジョークだろうか?

 “オバマケア”と呼ばれるアフォーダブル・ケア・アクト(Affordable Care Act)は2010年に上下両院で承認され、オバマ大統領が署名した法律である。また、その後の違憲立法訴訟に対して、2012年に連邦最高裁で合憲判決が出ている。

 さらに、この法律に政治生命をかけたオバマ大統領が2012年の大統領選挙で再選されているので、政治的には「民意」の支持があるということが出来る。立法上も、政治的にも、この法律の施行を延期せよとか、法律を変更せよとかの要求を大統領が飲める道理がないのだ。

 共和党の要求は「大統領」と「立法府」のクレディビリティーを傷つけ、統治の正統性に挑戦する、そういう性質の要求なのだ。共和党の採った政治行動は非常識極まりない無分別な行動と

・・・ログインして読む
(残り:約1066文字/本文:約2115文字)