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「IT革命」が進む自動車に「ソフトウエアの危機」

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 自動車のIT化の勢いが止まらない。ガソリン車、ハイブリッド車(HV)、電気自動車(EV)、2015年発売予定の水素燃料電池車(FCV)に続き、自動運転車の実用化も見えてきた。これらは自動車メーカーによる先端技術開発の成功例として語られる。

 しかし、IT化が進むほどシステムは複雑になり、安全や信頼性の要求が高まる。特にソフトウエアの開発量は膨大でコストも大幅上昇している。この「ソフトウエアの危機」をどう乗り越えるか、自動車メーカーはジレンマに直面している。

 イメージ写真(下)のカラー部分は、乗用車に搭載されるECU(電子コントロールユニット)の所在を示している(財団法人・日本自動車研究所のホームページより)。低価格車でも10個、普通車で数10~100個は使われる。

 ECUはマイコン、センサー、電源、通信回路などの部品を一つの基板にまとめたもので、エンジン制御やパワートレイン(動力を車輪に伝える)制御、情報通信制御などを行う。

財団法人・日本自動車研究所のホームページより財団法人・日本自動車研究所のホームページより

 グラフ(下)は、自動車のコストに占める電子部品の比率(ソフト開発費を含む)を示している。同じガソリン車でも高級車になるほど、またHVやEVなどIT化が進むほど電子部品のコスト割合が増加する。半面、自動車メーカーが得意とするメカ(機械)部品の割合は

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