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消費者は返金を求め緊張関係を―食材偽装をなくすためにできること―

小原篤次 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

  「中国産は危険で、日本産なら安全と言えるのだろうか」――。今年5月13日、学生たちと調味料メーカーで上場企業のアリアケジャパンの子会社アリアケファームの大規模農園を訪問した時、担当者が発した言葉である。58ヘクタール、東京ドーム13個分になる広大な農園である。この大規模農園は、潮受け堤防排水門の開門問題で揺れる国営諫早湾干拓地(長崎県)に入居している。

 大規模農園で収穫されたタマネギなどは、親会社に販売され、天然調味料となって、食品メーカー、コンビニエンスストアなどに供給され、消費者の口に入る。

 アリアケファームが目指す有機農法や食の安全性と、その信頼性確保には、トイレの設置場所、従業員への衛生指導から、農薬の使用など生産の管理、つまり生産活動を記録し、その記録を保管するほか、第3者機関の監査によって成り立っている。

 同社は、生産段階から、トレーサビリティを可能にしている。冒頭の発言は、日本の零細農家、農協の流通体制で、どこまでトレーサビリティが確保されるのかという問いかけでもある。

 鉄道、ホテルチェーンなどが経営するレストランの偽装表示問題を考えるうえで、示唆に富む言葉である。阪急阪神ホテルズが運営するホテルやレストランで始まった「偽装」、「誤表示」問題は、東急鉄道、近畿日本鉄道の鉄道系、藤田観光などのホテル内レストラン、ミシュラン掲載レストラン、そして全国の中華料理店が加盟する日本中国料理協会(エビの表示)まで広がった。

 老舗ホテル・ブランドホテルの象徴である帝国ホテル、ホテルニューオータニ熊本、ホテル椿山荘東京も含まれた。2007年に発覚した料亭「船場吉兆」の賞味期限切れ、産地偽装問題で、経営陣の謝罪会見が話題になったが、今回は、より広範なホテルのレストランで、総懺悔である。

法律の不備なのだろうか

 メーカーとして責任を問われる加工食品に比べて、レストランなど外食産業でメニューの虚偽表示が相次ぐ背景には、加工食品に比べて表示に明確な基準がなく、店側の裁量に委ねられているということが指摘されている。農林物資の規格化及び品質表示の適正化に関する法律(JAS)法に基づく表示基準には、 ・・・ログインして読む
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筆者

小原篤次

小原篤次(おはら・あつじ) 大学教員(国際経済、経済政策、金融)

長崎県立大学国際情報学部准教授。1961年、大阪府堺市生まれ。同志社大学法学部卒、国立フィリピン大学修士。朝日新聞社、チェースマンハッタン銀行(現JPモルガン・チェース)、みずほセキュリティーズアジア初代株式調査部長、みずほ証券リサーチ&コンサルティング投資調査部副部長を経て現職。【2015年12月WEBRONZA退任】

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