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 先週は、家事労働の無視、軽視、蔑視する「家事労働ハラスメント」(家事ハラ)が、労働時間政策をどのようにゆがめ、女性の社会参加や経済的自立をいかに阻んできたについて述べた。今回は、女性の活躍を阻む福祉労働の劣化、ブラック化と家事ハラとのかかわりについて考えてみたい。

 1985年に制定された男女雇用機会均等法は、女性保護を撤廃して始まり、これが「男女共通の長時間労働社会」の背中を押した。こうした長時間労働の恒常化に加えて、家庭内での育児や介護に対する社会的支援がほとんど進まなかったことも、女性の非正規化と男女の経済格差を強めた。

 女性が外で働くことを促すなら、それまで女性が抱えていた家事労働の一部を社会が代替する政策は、当然必要になる。だが、均等法制定に先立つ1979年、自民党は「日本型福祉社会構想」を発表し、日本は家庭での福祉を基本とする「暖かい国」という路線を打ち出した。その結果、女性は「男性並みの長時間労働」と「暖かい国の家庭福祉」の極端に重い二重負担を求められる結果になった。多くの女性が正社員をやめ、 ・・・ログインして読む
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筆者

竹信三恵子

竹信三恵子(たけのぶ・みえこ) ジャーナリスト、和光大学名誉教授

和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年、朝日新聞社に入社。水戸支局、東京本社経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)などを経て2011年から和光大学現代人間学部教授・ジャーナリスト。2019年4月から現職。著書に「ルポ雇用劣化不況」(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)、「女性を活用する国、しない国」(岩波ブックレット)、「ミボージン日記」(岩波書店)、「ルポ賃金差別」(ちくま新書)、「しあわせに働ける社会へ」(岩波ジュニア新書)、「家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの」(岩波新書)など。共著として「『全身○活時代~就活・婚活・保活の社会論』など。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。

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