2013年11月29日
正規と非正規の格差から離れて、そもそも日本の所得格差はどういう状況にあるのだろうか。
多くの人が、格差が拡大していると論じ、それが大問題になっている。しかし、多くの検証によると、格差拡大は高齢化に伴う現象で、高齢化の影響を調整してみると、格差はそれほど広がっていない。
所得の差は年齢が上がるにつれて開いていくため、もともと高齢者は他の年齢層に比べて格差が大きい。高齢化で所得のばらつきが大きい人々が増えれば、社会全体の格差も広がるというのである(大竹文雄『日本の不平等』第1章、日本経済新聞社、2005年)。
図2は、年齢ごとのジニ係数を年次ごとに見たものである。ジニ係数とは全く平等ならばゼロ、一人の人がすべてを持っていれば1となる不平等度の指標である。指標が大きいほど格差が大きいことになる。
これによると、40歳代以下を除いて、年齢ごとの格差はむしろ縮小している。年齢ごとの格差が縮小しているのに、社会全体での格差(図の一番右の平均)が大きくなっているのは、格差の大きい高齢者が増えたから、すなわち、
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