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[7]日本の将来人口・・・ウクライナのチェルノブイリ原発事故以降の経験に照らして

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 日本の人口の急減する可能性を考えた前回のコラムの最後の部分で、次のようにかいた。

 「以上の事態に、福島第1原発事故の放射能汚染が、日本の出生数、死亡数、総人口などの人口動態に与え得る影響を追加・勘案する事が肝要である。参考に付け加えると、1986年のチェルノブイリ原発事故後に、ウクライナ、ロシアでは、死亡数が10年で5割増し、出生数が15年で半減するという人口動態の激変を経験し、現在も激変は継続中である」

 ウクライナのチェルノブイリ原発事故で、欧州の広汎な地域が放射能汚染されたことは良く知られている。汚染が最も深刻なのは、事故現場に近いウクライナ、ロシア、ベラルーシなどの旧ソビエト連邦諸国である。

 日本の福島第1原発事故でも、福島県だけではなく、東北、関東、中部などの各地方が放射能汚染されていることは、その度合いは地域によって異なるが、日本政府文部科学省が計測・作成・公表した放射能汚染分布図などで知られている。

 また、内外の科学者も、福島発の放射能汚染分布のシミュレーションを行い、論文の形で公表している。

 福島第1原発事故に由来する放射性核種の大気を通じた全地球的な拡散・堆積をモデル化したものとしては、英文ではあるが、下記のリンクからダウンロードできる論文が大変参考になる。ドイツのマックス・プランク化学研究所などの研究者によるものである。

 同論文の第9ページ目と第10ページ目(ページ番号表記1433~1434)に表示された日本、日本周辺、世界の放射能汚染分布図が参考となる。

T. Clristodias and J. lelieveld, Modelling the global atmospheric transport and deposition of radionuclides from the Fukushima Dai-Ichi nuclear accident, Atmospheric Chemistry and Physics, 13, 1425-1438, 2013
http://www.atmos-chem-phys.net/13/1425/2013/acp-13-1425-2013.pdf

 問題は、放射能汚染と健康被害の関係について、各国の医学界でも必ずしもコンセンサス的な見解が、『定説』として確立されていないことである。

 このような場合に参考になるのは、帰納法的なアプローチであろう。

 放射能が何らかの形で、人間の健康状態に影響を及ぼすなら、その究極の形は、人口の動態に何らかの変化を生じさせているのではないか

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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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