2013年12月04日
米国のオバマ大統領は内政・国内経済を重視・優先する立場である。その大統領はいま、米国の軍産複合体の利権を抑制する方向に動いていると見られる。しかし、それは日本にとっては必ずしもプラスには働かない。オバマ氏は、米国の有権者にのみ責任がある存在で、日本の有権者に対して、直接に責任を負う立場ではないからだ。
米国が、建前では、国民主権、民主主義の国だからと言っても、日本の国民主権、民主主義に責任を負う立場には無いことを忘れるべきではない。米国が、自国が軍事費を抑制すれば、「同盟国」の財布や兵隊を利用しようとの動きが出て来ても、何ら不思議ではない。
安倍政権が、今次の臨時国会で拙速に成立させようとしている『特定秘密保護法案』も、 米国との同意で、日米両国が軍事機密を共有する場合に、その漏洩を防止しようとの意図に基づいている。
要するに、日米共同の実戦での軍事作戦を想定しての動きと言えよう。集団的自衛権の行使を、憲法改定ではなく、解釈改憲で押し切ろうとしている背景も、日米共同の実戦の軍事作戦を想定しているからであろう。
日米間の不均衡な「同盟関係」の下では、日米共同の軍事作戦とは、日本の自衛隊が、戦時には米軍の指揮下に従属し、米国主導の戦争に参画する事もあり得る。ちなみに、朝鮮半島の韓国軍は、戦時には米軍の指揮下に入ることになっている。
政権与党が、「特定秘密保護法案」の成立を急ぐ背景である。日本国内で、この点を明確に指摘しているのは、孫崎享氏(元外務省国際情報局長)などに限られる。
戦後の歴代の保守政権でも、日本が、必ずしも日本の国益ではない米国主導の戦争に巻き込まれるのには強く抵抗して来ていた。しかし、小泉純一郎内閣時には、「兵站」に限って、イラク戦争への「参戦」に踏み切ってしまった。福田康夫内閣は、アフガニスタン戦争への参戦を求められて、
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