2013年12月12日
ドワンゴが採用試験を「有料化」するという取り組みが耳目を集めたが、これは驚くにはあたらない。このニュースにむしろ、ここ数年の採用活動の変化や課題が凝縮されていると考えるべきだろう。
採用活動に少しでも関わったことがある者なら、またドワンゴという企業のことを少しでも知っている者だとしたら、おそらく大騒ぎはしないはずだ。大胆な変化のようで、ここ数年の採用トレンドと、ドワンゴという企業の動きから言うならば、想定の範囲内の取り組みであるからだ。
ポイントは次のようになる。
1. ハードルを上げることによる、母集団の最適化
2. 採用活動を通じたブランディング
3. 採用広報期間の短縮化の中での話題作り
この3つは、ここ数年の採用活動の中で、大手企業や成長ベンチャーを中心によく行われてきたことであり、何ら珍しくもない。もちろん、採用において有料化することは学生にとって負担となり、他社への波及が懸念されるわけだが、おそらく、広がらないだろう。
順に説明していこう。
まず、採用活動において、母集団の肥大化は長年の課題だった。就職難により応募数が増えるという論理もあるわけだが、そもそも90年代後半にリクナビに代表される就職ナビが登場し、一括エントリーが可能となったため、応募数は肥大化した。
実際、リクナビに登録してみると、「人気企業への一括エントリー」や「この企業にもエントリーしませんか」という案内がどんどん出るわけである。結果として、学生も自己管理できないほどに応募数が増えて身動きが取れなくなるし、企業にはマッチしない学生たちからの応募が増えるのである。
このため、より本気の学生からの応募を獲得するために、企業は応募のハードルを上げようとする。エントリーシートと呼ばれる応募書類を難問化させているのもその動きの一つだと言えるだろう。他にも、
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