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アジアのバブルは崩壊するのか? ―家計の負債増加で銀行の資産の質は低下―

根本直子 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

 2014年のアジア諸国の実質GDP成長率は、米国経済の回復に支えられて緩やかに改善するとみているが、2006~2010年の平均成長率(6.4%)に比べると伸び率は低位にとどまるだろう。

 他の地域に比べて高い成長率を維持してきたアジア諸国であるが、民間部門の負債の増加や不動産価格の上昇など経済の不均衡が多くの国でみられており、銀行にとっての信用リスクが上昇している。今後経済環境が悪化した場合、こうした構造的問題が足かせとなり、景気の下方サイクルが増幅される可能性もある。

多くの国で家計の負債が増加

 アジアの多くの国では、国内総生産(GDP)に対する家計債務の比率が高まっている(表1)。中でも水準が高いのは、マレーシア、タイ、韓国、シンガポールである。

拡大表1

 家計債務の多くは住宅ローンであり、これは家計所得の上昇や、住宅所有志向の高まりを反映している。また銀行からの資金調達が比較的容易なことが、住宅ローンの伸びにつながっている。

 各国の金融当局はグローバル金融危機や、ユーロ危機を受けて政策金利を引き下げ、潤沢な流動性を供給した。家計の債務水準が高い国の中でも、相対的にリスクが高いとみられるのは債務比率の上昇ペースが早いタイ、マレーシアである。両国とも貸出審査基準に関する規制が他国に比べて緩いほか、住宅ローン以外のオートローンや無担保消費者ローンなども増加している。

住宅価格の上昇

 家計債務の上昇に加えて、平均住宅価格の対所得倍率が上昇していることも、住宅購入者の負担増加、支払い能力の低下につながる。特に2010年以降住宅価格の上昇率が高いのは香港、シンガポール、マレーシアである。

 平均住宅価格の対所得倍率は、香港では15.6倍、シンガポールは12倍に達している。中国の大都市も高く、北京は22倍、上海は16倍である。中国では特に2009年から2010年にかけて、景気刺激策の一環として銀行の貸出が急増したことが、

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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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