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消費税25%か45兆円の財政赤字削減か――やがて来る「見たくない現実」

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 安倍政権が登場して1年たち、円安による「好決算」企業が増えたせいか、財政再建に楽観的な気分が広がっている。霞が関や永田町には「目の前にあるカネは使わずにいられない」という無責任な官僚や議員がひしめいている。政府与党は法人税や消費税の増収を当てにして公共事業を拡大する一方、歳出削減を積極的に進めようという声は小さくなるばかりだ。

 グラフに見るように、歳出(青)と税収(赤)の差は年を追うごとに開き、「ワニの口」と言われる。不足額は国債を発行して補っている。国債残高(建設国債と赤字国債の合計=政府の借金)は750兆円(GDPの150%)に達し、さらに毎年40兆円以上のペースで増え続けている。

 その先にどんな事態が待ち受けているのか――最近開かれた「財政の持続可能性」についての二つのシンポジウムでは、気の滅入るようなシミュレーションが次々と示された。それはいくら見たくなくても、「見なくてはならない現実」である。

 キャノングローバル戦略研究所のセミナーでは、星岳雄スタンフォード大学教授と伊藤隆敏・東京大学教授の共同研究のシミュレーション結果が発表された。タイトルは「国債累積は青天井でよいのか」。

 日本の民間金融資産は現在GDPの200%(約1000兆円)あるが、国債残高のGDP比率150%が今のペースで高くなっていけば、やがて日本の金融資産では国債を消化しきれなくなる。外国依存が高まり、金利は上昇。国債の利払い費をねん出するために更なる国債増発を迫られ、財政は破たん(発散)に向かう・・・・。

 そんな事態を防ぎ、財政を持続させるには消費税率を何%に上げればよいか――シミュレーションでは、経済成長率2%を続けるという楽観的な条件下でも、税率は当面の目標である10%では全く足りず、

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