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 株価上昇と円安の効果から証券会社や大手銀行の業績は改善しているが、地方経済や地域金融機関にとってアベノミクスの恩恵はまだ少ないようだ。

 2014年も国内での預金貸出利ざやの改善は難しく、地銀にとって収益性の維持、強化が引き続き最大の課題となるだろう。

 国内景気は回復基調にあるとはいえ、少子高齢化や産業の空洞化など地銀を囲む環境は厳しい。長期的観点から収益の多様性と業務の効率化に取り組む銀行が優位な地位に立つと予想される。

2013年9月期決算からみる課題

 格付け対象地銀の2013年9月期決算をみると、預金貸出利回りは前年同期の1.48%から1.38%に低下し、貸出の伸び率も低調なため、資金利益はほぼ横ばいとなった。一方コア業務純益(業務純益から国債関係損益を控除したもの)は、投信販売などの役務収益の増加、与信コストの減少などから、前年同期比3%改善し、コア業務純益を総資産で除した資産収益率は横ばいであった。

 また引当金控除後のネット不良債権比率は低下した。国債関係損益は高水準であった前年同期に比べると減少したが、6月以降の金利低下局面を捉えて売却益を計上した銀行もあった。一方国債の残高を抑制して株式や投信、REITなどその他資産への投資を徐々に増やし、市況の動向をみて売却益を上げて純利益を改善させた銀行もあった。自己資本比率に関してはすべての銀行が国際・国内基準を十分な余裕をもってクリアしている。

 このように2013年9月期の業績は比較的良好であったが、今後もその傾向が続くのかは明確ではない。例えば収益の柱である住宅ローンについては消費税導入前の駆け込み需要で押し上げられた面があり、来期以降は反動減が懸念される上、競争の激化で適切な利ざやの確保が難しくなっている。主要顧客である中小企業は円安の直接のメリットが少なく、売上がさほど伸びない中で運転、設備資金の需要は依然弱い。

 日銀は物価上昇率2%を安定的に達成するまで現在の金融緩和政策を続けると発表しており、低金利環境が継続する中で、預金貸出利回りと有価証券利回りは横ばい、ないしは一段と低下すると予想される。業務純益の減少傾向をどうやって

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筆者

根本直子

根本直子(ねもと・なおこ) 早稲田大学 大学院経営管理研究科 教授/アジア開発銀行研究所、 エコノミスト

日本銀行、S&Pグローバル、マネージング・ディレクターを経て現職。主なリサーチ分野は、金融機関経営、日本およびアジアの金融市場、包摂的成長。 早稲田大学法学部、シカゴ大学経営大学院、一橋大学商学研究科、商学(博士) 主な著書に「韓国モデルー金融再生の鍵」「残る銀行沈む銀行―金融危機後の構図」 財務省 関税・外国為替等審議会委員、中部電力、コンコルディア・フィナンシャルグループ社外取締役、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF) 経営管理委員。

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