2014年02月27日
人の三井、組織の三菱と言われる。総合商社や旧財閥系の企業に応募する大学生でも知っている、いわば常識になっている。
三井物産のサイトを見ると、旧三井物産初代社長の益田孝は「三井には人間が養成してある。これが三井の宝である」と常々述べていたと伝えられますが、この頃から一貫して、この考えはしっかりと受け継がれています。さらに、三井物産の最も重要なステークホルダーのひとつは社員であり、「最も重要な資産も社員=人材である」としている。また、同社は「社会に役立つ人材を育成・輩出することを目指してきました」とも自負している。
三井物産の専務や副社長も務めたNHKの籾井勝人会長が就任直後、辞表提出を求め、10人の理事がこれに応じて辞表を提出したことが、25日の衆議院総務委員会で明らかになった。民主党の福田昭夫氏の質問に答える形で、10人の理事が辞表の提出を認めた。
籾井会長は当初、人事上の問題として、コメントしていなかったが、各理事の答弁後の「素直に正直に答えてくれました。どう思いますか」という質問に対しては、「各理事は事実をそのまま述べたと思います。それはそれで結構ではないかと思います。私がどう思うかは別問題でございます」と述べた。10人が次々に、辞表の提出を認めていくのは異様な光景である。
組織の内外で、幾度も役員の昇格や退任を観察する経験に恵まれた。筆者の経験に照らせば、辞表提出に関する総務委員会の質疑を観る限り、これでは籾井会長をとても守れないというのが、率直な感想だ。
民間企業で、就任間もない会長や社長が、役員に辞表提出を求め、忠誠心を求めたとすれば、経営者失格である。「お前らいつでも首にできるぞ」と脅迫したのに等しい。最も重要な資産が人という三井物産の社風にも合わないのではないだろうか。
人を信頼しないマネジメントでは、部下は指示されたことしかしなくなる。最悪の場合は指示されたことさえ対応しなくなる。辞表を全員に提出させるのが許容される唯一のケースは、会長や社長も含めてなされる必要がある。つまり組織全体の責任を対外的に示す目的である。報道や国会質疑を見ても、
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