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[19]大気汚染などの環境問題・・・日本の文明観で見直せ

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 春の訪れは、本来は喜ぶべきものである。しかし、呼吸器系のアレルギーを持った多くの人々には、大いなる苦痛の時期の始まりでもある。スギ花粉などによる花粉症、福島第1原発事故による放射能汚染に加えて、日本列島の大気汚染も、再び深刻になっているからである。

 日本では1970年代以降の『公害』対策で、大気汚染問題は改善されたはずであった。

 しかし、日本国土の上空に衝立(ついたて)は立てられない。地球上の1地域で発生した大気汚染は、地球の全表面を覆うからである。日本の福島第1原発発の放射能も、その程度は正確には測りがたいが、地球全体の大気、土壌、水中・海中を汚染し続けているのと同様である。

 1964年の東京オリンピック大会開催前後の『高度経済成長』を謳歌していた当時の日本では、環境対策も皆無に近い状態で、石油、石炭を盛大に燃やし、工場、事務所、家庭からの排水も、下水道などの処理施設もなく、河川、海に垂れ流しであった。

 1970年代後半までのアジアでは、第1次エネルギー消費量では、日本が中国を凌駕していた。換言すれば、日本がアジア最大の公害発生源であったといえる。

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 1971年(昭和46年)には環境庁が設置され、同庁は2001年(平成13年)には環境省に格上げされた。それに伴い、大気汚染対策などの環境対策は飛躍的に向上した。省エネの推進で、第1次エネルギー消費量の増加そのものが抑制され、火力発電所や自動車などからの排ガス規制の強化が、環境汚染悪化に歯止めをかけたのだ。

 しかし、日本がいくら努力しても、

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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

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