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リアルアンパンマン、もう一つの教訓--企業の社会的評価が株価を左右する時代

森摂 ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

 2月14日からの大雪の影響で通行止めになった中央自動車道の談合坂サービスエリアで、山崎製パンの運送トラック運転手が、立ち往生したドライバーらに積荷のパンを無料で配布したことが話題を集めた。

 報道などによると、山崎製パンは「特に会社として指示したものでも、非常時の対応として(商品の配布について)の規定があるわけではありません。運転手が機転を利かしたのでしょう」と答えている。

 今回の「美談」は新聞やテレビ、オンライン記事などでも報道され、ツイッターやフェイスブックでも盛んに拡散した。その広告効果は2億円以上との記事もある。株価も、2月14日の1110円から週明けには1170円に上昇。時価総額は数日で130億円ほど増えた計算だという。

 一方、同じ大雪の中で評判を下げた事例もあった。埼玉県内のコンビニが「一人店から出ないと次の客は入店できない」という入場規制を敷いたのだ。

おそらくは大雪の中で食料品を買い求める客が詰めかけ、店内での混乱を避けようとした措置だったのだろう。しかし、ソーシャル・メディアでは、外で長時間待たされた客から不平不満の声が多数流れた。

 この件がコンビニ運営会社の株価を左右したとまでは言えないだろう。しかし、大雪の中で辛い思いをした客たちが、「二度とその店に行かない」と思ったとしても不思議ではない。数十メートルしか離れていない他のコンビニを

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