WEBRONZA編集部
2014年03月10日
国立情報学研究所の岡田仁志准教授は8日、「揺れる通貨 ビットコインの先にあるもの」と題して日本記者クラブで会見し、ビットコインの原理や仕組み、これまでの経緯、今後の課題などについて語った。専門用語をかみ砕き、咀嚼した要旨は以下の通り。カッコ内は編集部による補足的な説明。
ビットコインのそもそもの出自については、英文の論文「Bitcin:A peer-to-Peer Electronic Cash System」(Satoshi Nakamoto)である。「信頼できる第三者機関」を一切利用しない電子通貨をネット上につくり、流通させるプログラムをNakamotoが公表したことに始まる。民主的な理念に基づいていたと思われる。
(論文発表の時期は2008年とされる。このNakamoto氏をめぐっては、米誌が本人を特定したとして報道が続いている)
その利点として考えられるのは、「金融機関を利用するコストがない」ということ。つまり、現金に近いコストで電子決済ができることにある。金融機関を通じての決済には一定のコスト(料金)がかかる。これは決済後の取り消しや変更に金融機関が備える意味があると考えられる。電子貨幣による決済は、取り消し、変更などを認めない「不可逆取引」の範囲が広げることにつながるだろう。
ビットコインの基本的な原理は、電子署名のチェーンで成り立っている。ネット上の「秘密鍵」と「公開鍵」という2種類の鍵を使って取引する。システムにアクセスしてビットコインの財布をつくり、一定の取り決めに従った取引していく。その過程でビッココインそのものも増えていく仕組みになっている。
ビットコインを増やすには一定規模の計算能力のあるコンピュータによる計算、検算の作業が求められる。この作業をこなしてビットコインを発生させて、手にいれることを「発掘」と呼ぶ。
稼働させるコンピュータの能力などから、現在ではこの作業を専門に行う3大業者による寡占状態になっていて、1社で全体の37%を保有しているところもある。
現在まで約1300万ビットコインが発行され、世界中でざっと10分間に1ビットコインずつ増えている。ただ、
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