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「ガラ軽」を愛する優しい消費者たち

木代泰之 経済・科学ジャーナリスト

 軽自動車の売れ行きが好調だ。自動車の総保有台数に占める軽自動車の比率は38%で、この10年で10ポイントも増えた。軽は消費者が求める低価格・低燃費・低税金・低保険料を満たし、狭い道でも小回りが利くので高齢社会に適している。「ガラ軽」と馬鹿にするなかれ、軽こそこれからの国民車になる資格を備えている。

 軽自動車(排気量660cc以下)は1949年に日本独自の規格として生まれた。昨年は車全体の4割に当たる211万台売れ、保有台数は2800万台に上昇。低下が続く普通・小型自動車とは対照的だ(下のグラフ)。

 昨年末の税制改正では、消費税率を2015年に10%に引き上げるのに合わせて自動車取得税(軽は購入金額の3%、普通・小型は5%)を廃止し、代わりに軽自動車税を7200円から1万800円に増税することが決まった。軽の優遇度は減ったが、グラフの勾配から見て、あと10数年もすれば保有台数は逆転するだろう。

 下の表は各都道府県の軽自動車の普及台数(100世帯当たり)と県民所得(1人当たり)の関係を示している。例外はあるが、おおむね低所得の県では軽の普及台数が多く、高所得の県ほど少ない。スズキの鈴木修会長兼社長が軽の税制改正を「弱い者いじめ」と言ったのはこのためだ。

 普及台数1位の鳥取県は100世帯当たり99.0台を誇る。世帯の車保有率は約5割なので、車のある家は平均2台の軽を所有している勘定になる。普及台数最下位の東京は11.1台で鳥取の9分の1しかないが、逆に所得は断トツの431万で、

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