2014年03月18日
第2次安倍政権が2012年12月に成立してから満1年3カ月近く、安倍首相の肝煎りと見られる黒田氏が、日本銀行総裁に就任してから今週で満1年になる。
安倍・黒田体制の当初から、「アベノミクス」ともてはやされた経済政策の結果を、数字の上で評価するための十分な時間が経過したと言える。
国家の経済政策の目的は、国民の経済生活の水準(=経済的厚生)を維持し、向上させることに尽きる。それも、特定の国民層だけではなく、最大多数の最大厚生を目指すのが、自由民主主義下の政治では当然のことだろう。
なぜ以上のような、ある意味では自明の事にわざわざ言及するかと言うと、国民経済の運営に関連した「経済学」と、1企業の経済的な利益追求を主な目的とする「経営学」の議論が混同される場合が、余りにも多く見られるからである。
アベノミクスは、大幅な円安、少々の財政的な景気刺激策、「量的緩和政策」という名目で、日本銀行(=中央銀行)による新規財政赤字による国債の実質的な全額引き受けに踏み切った事などを、主な政策手段にするものであった。
大幅な円安は、ドル建て比率の高い日本の輸出関連産業の価格競争力を高め、円換算の輸出額、売上高を増加させ、利益を増大させようとのものであった。
確かに、大幅な円安が進行した2013年前半には、アベノミクス推進論者などの当初の目論見通りに事態は進展したと考えられる。
しかし、2013年5月下旬に、円安の進展の鈍化が明らかになった以降は、上記のシナリオは頓挫して
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