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[22]米国の金融政策引き締めと新年度の日本経済

齋藤進 三極経済研究所代表取締役

 先週は、日本の中央銀行総裁が白川氏から黒田氏に交代して満一年、米国の中央銀行では、先任のバーナンキ氏と交代したイエレン氏が、議長として初めての政策決定会合(連邦公開市場員会)を仕切り、会合後の記者会見に臨んだ。

 海千山千の世界中の経済・金融資本市場関係者に向き合う立場は、勤務評定の対象の部下に指示・訓令したり、試験成績を付けられる学生に向かって講義したりするのとは大きく異なり、誰がやっても、なかなか思うようには行かず、気苦労の大きなものであろう。

 当たり前のことであるが、政策当局者が同じことを言ったつもりでも、それを受ける立場の経済・金融資本市場関係者では、市場価格が売りのシグナルと取るか、買いのシグナルと取るかの相反する見方と、その結果の売買行動があるものである。その双方の売買行動のバランスが、一方に極端に振れていないから、上げ相場でも、下げ相場でも、価格変動幅が極端に大きくならないわけである。

 しかし、政策当局者が、一方にしか解釈のしようがないシグナルを出せば、発言の意図とは関係なく、それをキッカケに、相場が暴落や、反対に暴騰することもある得る。

 先週の3月19日の政策決定会合後の記者会見の質疑応答の中で、イエレン新議長は、政策当局の最高責任者としては、普通では有り得ない応答をしたとされる。

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 米国の金融当局は、2012年9月から量的緩和政策第3弾を実施して来たが、その段階的な手仕舞いを今年明けから開始した。

 会見場の一人の記者が、量的緩和政策の手仕舞いが完了してから如何ほどの時間を置いて、政策金利(フェデラル・ファンド・レートの誘導目標水準)の引き上げに踏み切るかと質問した。それに対して、6カ月後と、明瞭に答えてしまったのである。

 米国の中央銀行は昨年末までは、400億ドルの不動産担保証券、450億ドルの国債の合計850億ドルの証券を毎月買い上げていた。

 しかし、昨年12月、今年1月、3月の政策決定会合で、決定翌月から、不動産担保証券、国債の買い上げ額を、各々50億ドル、合計で100億ドル削減する決定をし、実施して来た。この3回の決定を経て、

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筆者

齋藤進

齋藤進(さいとう・すすむ) 三極経済研究所代表取締役

(株)三極経済研究所・代表取締役。1950年静岡県生まれ。73年京都大学経済学部卒、73年より、国際関係研究所客員研究員(台北)、76年ミシガン大学大学院経済学博士課程修了。フォード財団特別研究員、ウォールストリートで、金融機関、機関投資家、国際機関向けの独立経済コンサルタント業、クレディ・スイス銀行(東京)経済調査部長兼チーフ・エコノミストなどを経て、1990年より現職。「平成不況」の名づけ親として、多くの経済政策論文・論説を発表。著書に『平成不況脱出』(ダイヤモンド社)、『平成金配り徳政令』(講談社)など。世界の100人のTop Political Columnistにも選ばれている。 【2016年8月WEBRONZA退任】

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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