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「JAPANESE ONLY」厳罰の裏にあったFIFAのCSR

森摂 ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

 サッカーJ1浦和は6日、ホームの埼玉スタジアムで仙台に4ー0で圧勝。観客が差別的横断幕を掲げた問題を受けて行っていた応援規制の一部も解除され、2万7000人のファン、サポーターらが熱い声援を送りました。

サポーターらが声援を送るなか、後半21分、浦和・李(右)はループシュートで2点目を決める=埼玉スタジアムサポーターらが声援を送るなか、後半21分、浦和・李(右)はループシュートで2点目を決める=埼玉スタジアム

 浦和はこの差別的横断幕の問題で、3月23日の清水戦はJ史上初の無観客試合で行われました。まだ、自作の旗や横断幕は引き続き禁止で、入場時にチェックを続けるという厳しい姿勢を崩していません。

 無観客試合というのは、1993年にJリーグが発足して以来、最も重い処分ということで、サッカーファン以外にも波紋が広がりました。

 一方で、なぜサッカー試合の横断幕がこれだけ問題になったのか、その原因についてはメディアでもあまり語られていないように思えます。

 今回のJリーグの判断の背景には、人種差別問題へのFIFA(国際サッカー連盟)の厳しい姿勢があります。欧州を中心に選手らによる人種差別的な行為や発言が後を絶たないため、FIFAは2013年5月に改めて人種差別に対して厳しく臨む決議を行いました。

 そして、なぜFIFAがこれだけ人種差別問題に敏感かというと、そこに「世界のCSR」の核心に触れる部分があるのです。かいつまむと、以下の3点に集約されます。

1) 海外のCSRの根幹は「人権」と「サステナビリティ」

2) 営利の株式会社だけではなく、非営利団体もCSRに積極的

3) 人権問題については、特に迅速で厳しい対処が取られる(FIFAだけではなく)

 CSRについての国際ガイドラインである「ISO26000」の7つの中核主題や、国連グローバルコンパクトの10原則には、「人権問題」が明確に規定されています。

 その内容は人種差別だけではなく、

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