2014年04月16日
4月である。経団連の倫理憲章によると、新卒採用の選考活動が解禁は4月1日ということになっている。街でリクルートスーツの若者を見かける機会も増えた。学生からの内定報告のメールも届くようになった。
全体で見ると求人は明らかに回復傾向だ。もうすぐ、リクルートワークス研究所が毎年発表している「大卒求人倍率調査」が発表になる。昨年は1.28倍だったが、私は悲観シナリオでも1.4倍以上に回復するのではないかと見ている。売り手市場に転じていると感じる。
企業の声を聞いても、中堅・中小企業は応募者の獲得に、昨年以上に苦労しており、0.7倍程度の応募だという話をよく聞く。大企業中心に応募が集まるようになるというのはいつもの傾向だが、今年は応募が増加傾向だ。とはいえ、あまり真剣ではない学生からの応募が目につくという。すっかり、売り手市場の様相だ。
この新卒一括採用については、「1回の選考で人生が決まってしまう」「その年の求人環境により、差が大きく不公平」「早期化・長期化している」「学業を阻害する」「学生に負担がかかる」「没個性的」などという批判が常にある。この批判も、求人が回復するとメディアで見かける機会は減るものだ。実際、最近の新卒一括採用、就活に関する否定的な報道を以前ほどは見かけなくなったような気もする(あくまで感覚的なものだが)。
とはいえ、売り手市場化する中でも、新卒一括採用に関する批判的な論調を載せているメディアは、問題提起し続ける姿勢、多様な視点を提供し続ける姿勢は評価したい。
例えば、『WEDGE』の2014年4月号は、「不満続出するリクルートのビジネスモデル『就活』が日本をダメにする」という特集を組んだし、4月7日付の日本経済新聞は社説において、新卒一括採用批判を展開した。同じ、日本経済新聞の電子版には、オリックス会長の宮内義彦氏による新卒一括採用批判が掲載されている。時代の空気とは関係なく、このような記事を掲載したことは評価できる。
ただ、批判の仕方が雑だと、世の中は、誰も喜ばない、改革という名の改悪の方向に向かってしまう。中には、雑な批判も見受けられる。特に、採用担当者の間で話題になっているのが、
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