メインメニューをとばして、このページの本文エリアへ

RSS

 主要各紙は5日、政府が外国人労働者の受け入れを増やす方針で検討を決めたと報じた。働き手が不足している建設・介護、農業のほか、女性の就労を支援するために家事サービス分野でも受け入れを拡大するという。外国人労働者の人権を守る仕組みが弱い日本社会での受け入れ拡大はさまざまな問題を引き起こす恐れがあるが、中でも気になるのは家事サービス分野への受け入れだ。

 女性が外で活躍するには、それまで女性が家庭で担ってきた労働を支える仕組みが不可欠だ。ここに公的資金を出したがらない社会では、移住家事労働者への依存度が強まる。税金を使わず、普通の家庭が購入できる価格で家事サービスを拡大させるには、買い叩きやすい移住女性労働者の活用が手っ取り早いからだ。「女性の活躍」と「三歳までは家庭で育休」を同時に掲げ、女性が外で働くためのコストの自己負担化を図る現政権がこうした方向に踏み出すことは、ふしぎではない。

 問題はこの政権が、こうした政策が生み出す落とし穴にどれだけ自覚的であるかだ。昨年秋に出版した『家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの』(岩波新書)でもすでにふれたが、落とし穴は三つある。ひとつは移住家事労働者の人権侵害の激増、二つ目はその結果起きる関係国との摩擦と家事労働者の供給の不安定化、三つ目が、家事サービスを自力で買えない層の貧困化だ。

 移住労働者は、保護されるべき枠の外にある人々という偏見の下で、男性でも人権侵害にさらされやすく、賃金未払いや労災隠しなどがしばしば表面化してきた。

 そうしたなかで家事労働者として働く女性は、さらに大きなリスクを負っている。家事労働は家庭という密室での労働であるため、第三者からの目が届きにくく、長時間労働や雇い主のセクシュアルハラスメント、虐待などが起きやすい ・・・ログインして読む
(残り:約1518文字/本文:約2275文字)

全ジャンルパックなら本の記事が読み放題。
Journalismの記事も読めるのは全ジャンルパックだけ!


筆者

竹信三恵子

竹信三恵子(たけのぶ・みえこ) ジャーナリスト、和光大学名誉教授

和光大学名誉教授。東京生まれ。1976年、朝日新聞社に入社。水戸支局、東京本社経済部、シンガポール特派員、学芸部次長、編集委員兼論説委員(労働担当)などを経て2011年から和光大学現代人間学部教授・ジャーナリスト。2019年4月から現職。著書に「ルポ雇用劣化不況」(岩波新書 日本労働ペンクラブ賞)、「女性を活用する国、しない国」(岩波ブックレット)、「ミボージン日記」(岩波書店)、「ルポ賃金差別」(ちくま新書)、「しあわせに働ける社会へ」(岩波ジュニア新書)、「家事労働ハラスメント~生きづらさの根にあるもの」(岩波新書)など。共著として「『全身○活時代~就活・婚活・保活の社会論』など。2009年貧困ジャーナリズム大賞受賞。

竹信三恵子の記事

もっと見る