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TPP日米協議、ギリギリで浮かび上がったシナリオ

山下一仁 キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

 TPPを巡る日米協議のシナリオがおぼろげながら見えてきた。

 重要5項目のうち、コメ、麦については、低税率の輸入枠の設定・拡大を行う代わりに関税を維持、砂糖は関税維持という報道がなされている。コメについては、私が以前から見とおしていたとおりだ。

 小麦については、「アメリカから見たTPP交渉」(2014年2月21日付)で、「アメリカの小麦業界は、いまのままの制度(関税割り当て制度で農林水産省がアメリカのシェア60%を維持して輸入)のもとで日本に安定的に輸出できるほうが良いと考えていたようであるが、他の国の市場を考えると、日本に関税撤廃を迫ることに方針を転換したようである」と書いたが、日本市場を考えると豪州やカナダと競争するよりも、関税割り当て制度での下で、安定した輸出を確保する方が得だという当初の判断に戻ったようである。

 砂糖については、メキシコからの輸入が大幅に増加しており、また豪州に対して砂糖関税の維持を主張しているという状況であり、そもそも日本に輸出できるような競争力はない。

 残るのは、牛肉、豚肉、乳製品である。このうち、乳製品については、アメリカにそれほどの競争力があるわけではなく、日本とカナダの市場を開放した方が、競争力のあるニュージーランドからの輸出圧力を避けるためには、望ましいというものだ。

 したがって、(バター、脱脂粉乳という主要な乳製品についての関税削減および)アメリカが競争力を持つ一部の品目(ホエイ、チーズ等)についての関税削減および低関税の割当枠の設定・拡大で合意する可能性がある(ただし、アメリカはカナダに対しては関税を撤廃させて本格的に乳製品を輸出することを考えており、日本にも強い態度をとり続ける可能性がないわけではない)。

 牛肉については、撤廃という主張は降ろしたものの、38.5%の関税を10%以下に、豚肉については、 ・・・ログインして読む
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筆者

山下一仁

山下一仁(やました・かずひと) キヤノングローバル戦略研究所研究主幹

1955年岡山県笠岡市生まれ。77年東京大学法学部卒業、農林省入省。82年ミシガン大学にて応用経済学修士、行政学修士。2005年東京大学農学博士。農林水産省ガット室長、欧州連合日本政府代表部参事官、農林水産省地域振興課長、農村振興局整備部長、農村振興局次長などを歴任。08年農林水産省退職。同年経済産業研究所上席研究員。10年キヤノングローバル戦略研究所研究主幹。「フードセキュリティ」「農協の大罪」「農業ビッグバンの経済学」「企業の知恵が農業革新に挑む」「亡国農政の終焉」など著書多数。

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