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 国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は4月13日、第3作業部会の新たな報告書を発表しました。

 IPCCは世界の科学者の最新の研究成果をもとに、温暖化について数年おきに評価報告書をまとめています。これにより、IPCCは「温暖化の認知を高めた」として2007年のノーベル平和賞を受賞しました。今回の報告書は7年ぶりとなります。

 4月13日、WWF(世界世界自然保護基金)ジャパンの気候変動・エネルギープロジェクトリーダーである小西雅子さんから情報提供がありましたので、そのポイントをご紹介しながら、新しい報告書を読み解いて行きます。

(以下引用)
◆今までの第1、第2作業部会の報告書は自然科学が中心だったが、今回の「政策の科学」は、同じ科学でも社会科学の範疇となり、経済学や何が衡平かなどの倫理まで含む内容となった。
◆このため激しい議論が戦わされた。会期を一日延長して6日間にわたって最後は徹夜で行われた作業は非常に難航しましたが、なんとか要約の承認作業が終了して発表にこぎつけた。
◆温室効果ガス排出量の約65%を、化石燃料を使用することと工業プロセスからのCO2排 出量が占めている。排出量は近年さらに増加しており、過去40年の間に過去からの人為的CO2累積排出量の半分を排出している。
◆このまま現状以上の温暖化対策を何も行わないなら排出量は減少に向かわず、2100年に約4度前後も上がってしまう可能性が高い。
◆2度未満に抑えるためのシナリオ では、エネルギーシステムを大幅に変える必要があり、エネルギー供給からの排出量を2040年から2070年の間には2010年に比べて90%以上減少しなければならない。
◆2度未満に抑えるシナリオでは、2050年には温室効果ガスの排出量を2010年比で40~70%削減する必要がある。2100年には排出量をゼロにするかマイナスにしなければならない。
◆ 今日すでにある対策以上の温暖化対策の実施を遅らせて、2030年までそのままの傾向でいくと、2030年以降にそのツケが周り、必要となる削減ペースが至極困難な水準となる。その結果、2度未満に抑えることが非常に困難になる。つまり、早期の対策が急務だ。
◆電力を脱炭素化していくことが、経済性の高い削減方法であり、2050年に電力に占める低炭素エネルギーの割合を、30%から80%に引き上げることが必要なこと。
◆低炭素エネルギーには、自然エネルギー、原発、CCS(二酸化炭素の地中貯蔵)が含まれる。ただし原発にはリスクがあり、CCSはまだ大規模な商業化の段階に入っていないことが明示されている。
◆石炭の継続使用が、世界の脱炭素化を妨げてきたこと。石炭を最新鋭のガス火力やコジェネに代替することによって、大幅に排出量を減らすことができる。
◆2度未満に抑えるために必要なコストは、消費ベースの経済成長率を、ごくわずかに下げるだけ(1.6%成長するところを1.56%に下げる程度など)。
◆排出量の大幅な削減には、投資の流れを大きく変革し、化石燃料への投資から、低炭素エネルギーへ投資をシフトすることが必要なこと。
(引用終わり)

 小西さんによると、報告書は「産業革命前に比べて2度未満に抑えることはまだ可能であること」を明示した一方で、

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筆者

森摂

森摂(もり・せつ) ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

環境とCSRと志のビジネス情報誌「オルタナ」編集長。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。 流通経済部などを経て1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2002年9月退社。同年10月、ジャーナリストのネットワークであるNPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)を設立、代表に就任。2006年9月、株式会社オルタナ設立、編集長に就任、現在に至る。主な著書に『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年10月)など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社、2007年3 月)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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