原田泰(はらだ・ゆたか) 原田泰(早稲田大学教授)
早稲田大学教授。1974年東京大学卒業後、同年経済企画庁入庁、経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長などを経て、2012年4月から現職。「日本はなぜ貧しい人が多いのか」「世界経済 同時危機」(共著)「日本国の原則」(石橋湛山賞受賞)「デフレはなぜ怖いのか」「長期不況の理論と実証』(浜田宏一氏他共著)など、著書多数。政府の研究会にも多数参加。
※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです
金融政策によって予想物価上昇率を引き上げ、実質金利を低下させて景気回復を図ろうというのが現在の日銀の行っている金融政策である。具体的には、中央銀行の直接コントロールできるお金、マネタリーベースを拡大させて予想インフレ率を引き上げようというのである。
図1は市場関係者の予想インフレ率(ブレーク・イーブン・インフレ率と呼ばれるもの)とマネタリーベースを示したものである。特に、この図の右の方から、マネタリーベースの拡大が予想インフレ率を引き上げることが明らかである。しかし、同じ図から、予想インフレ率とマネタリーベースは2009年の後半以降では関係があっても、それ以前では関係がないではないかという議論がある。特に、データの揃わない昨年中ごろまで盛んだったようだ。
しかし、この図から、09年以前でも、06年のマネタリーベースの縮小とともに予想物価上昇率が低下しているのは明らかである。図2は、マネタリーベースの目盛を変えて、予想インフレ率と比べたものである。図から明らかなように、マネタリーベースは、予想インフレ率と明らかに相関している。マネタリーベースが減少してから予想物価上昇率が下落するまで2か月のラグがあるようなので、ラグを付ければ、さらに相関が明白になる。ただし、
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