2014年05月06日
安倍政権の経済政策「アベノミクス」で、日本の労働者の賃金水準は実のところ、上がったのだろうか、下がったのだろうか。
ここは、様々な形容詞を繰り出して、言辞を弄する前に、日本政府自身が集計している賃金水準などの統計を、いつものように愚直に眺めることが肝心だ。
日本の勤労者・労働者が、総額ではいかなるなる水準の金額を受け取って来たのか。その全体像の推移を見るには、日本政府内閣府経済社会総合研究所が推計している国内総生産など国民経済計算の一部である『雇用者報酬』を眺めるのが便利である。
この場合の雇用者とは、政府部門、民間部門の双方に雇われている役員、従業員などを意味する。自営業者、その無給の家族などは含まない。報酬には、現金での給与、賃金、賞与、現物支給、雇用主が負担した社会保険料なども含まれる。
次に、日本政府厚生労働省は、5人以上の常用労働者を雇う事業所を対象とする毎月勤労統計調査として、賃金、労働状況などを調査推計している。その中で、実際の金額での賃金を元にした名目賃金指数、インフレ率を差し引いた実質賃金指数を算出している。
先ず、雇用者報酬の推移を、1980年から2013年までと、1990年代初め以降の期間を拡大して眺めよう。
実際の金額、すなわち経常価格での雇用者報酬は、1980年代初めから1997年までは上昇を続けていたことが分かる。しかし、1997年を分岐点に、15年間余りも長期下落傾向が続いていることが見てとれる。その長期下落期間には、下落傾向が一時的に止まり、反転したかに見えた時期もあったが、
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