2014年05月09日
厚労省プランでは、地方自治体が地域の実情に応じて効果的・効率的な介護予防・保健事業を行えるよう、地域単位での介護・医療関連情報の「見える化」等による介護予防等を推進し、介護費約0.6兆円の効果額を目標としている。
今国会に提出されている「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律案」には、次期2015~2017年度の第6期介護保険事業計画に係る介護保険法改正案が組み込まれている。そこでは、(1)特別養護老人ホームの入居対象者について、原則として、在宅での生活が困難な中重度の要介護者に限定すること、(2)それに伴い、予防給付(通所介護・訪問介護)を介護給付から地域支援事業へ移行することなどが柱となっている。
この法案作成の過程で具体的な内容の審議を行った社会保障審議会介護保険部会では、最終段階である第54回同部会(2013年12月20日)においてさえ、賛否両論が対峙したままで、完全な合意はなされなかった。
こうした経過を見るに、今回の改正案は介護予防を推進することとはいささか路線を異にするように思えてならない。そこで、介護サービスの費用対効果という視点で考えてみたい。
介護サービス種類別の費用を見てみると、通所介護の費用が急増していることが分かる(図表6)。
(出所:厚生労働省資料)
この傾向は今後とも続き、通所介護は他の介護サービスに比べて最も費用が充当されることになる可能性がある。では、通所介護が増えることについては、どのように考えていくべきなのか。介護給付は今後とも増加していく見通しだから、それを抑制するには、費用のかかっているサービス分野から少しずつ削減していくことが介護給付総費用の抑制のためには望ましいだろう。
そのように費用のかかっている分野とは、通所介護以外では介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)、介護老人保健施設、訪問介護などが挙げられる。これらも含めて、介護サービス利用者一人当たりの費用額を示すと次の通りである(図表7)。
(出所:厚生労働省資料)
ここから言えるのは、介護サービスの費用対効果は、「訪問介護 > 通所介護 ≫ 介護老人福祉施設 > 介護老人保健施設」となる。したがって、
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