2014年05月29日
韓国から戻った17日、都内の労働集会で聞いた大手電機メーカー社員の報告は、こうした「失業なき労働移動」の問題点を浮き彫りにした。このメーカーでは数千人規模の「希望退職」の募集があり、同僚の勤続30年の50代男性も応じたという。これらの就職あっせんを引き受けた大手人材会社の担当者から「1年以内に新天地がみつかりますよ」と言われ、心が動いたからだった。
ところが報告者は、しばらくしてその男性と社内でばったり再会した。男性は就職をあっせんする人材会社に登録したものの正社員の再就職先は見つからず、「派遣の道もある」と助言されて、もとの企業の子会社の派遣会社に紹介された。この子会社は親会社への派遣が大半を占め、彼は、低賃金で不安定な派遣社員として退職した会社に再就職する羽目になった。非正規雇用が蔓延した日本での「失業なき労働移動」のひとつの形である。
この会社ではシングルマザーの同僚女性も退職を決意した。提示された再就職先は、彼女の英語力を生かした正社員だった。賃金は月20万円台だったが、子どもがいる身には週休2日の安定雇用が必要と考えて就職を決めた。だが、新職場では膨大な量の翻訳を押し付けられ、休日出勤も残業も当たり前だった。忙しくて代休など取れないのに、休日出勤は代休で取り戻せと言われ、その分の賃金は払われなかった。最初に提示された「月収20万円台」は、週20時間分の残業代込みのもので、
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