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企業のCSR活動が社会で認知されない理由――ソーシャル・ブランディングの視点から

森摂 ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

 企業のCSR活動やNPOの活動を取材する側として、ずっと気になってきたことがある。それは、せっかく良い活動を展開しているのに、名前がないために社会での認知度が低かったり、活動自体も広がっていかなかったりすることだ。

 名前は大事である。しかも短くて覚えやすい名前が必要だ。「地球温暖化防止と生物多様性保全のための○○推進事業」など、一般名詞の羅列ではなかなか人のアタマに入りにくい。

 企業のブランドマネージャーはその点をよく押えていて、新製品や新しいサービスを世に出す時には必ず「短くて覚えやすい名前」にこだわる。そもそも、日本人は「4文字(音節)以下」の名前を好み、長い名前は「キムタク」や「モモクロ」など勝手に4文字化してしまう。

 「トヨタ」も「ソニー」も「東芝」も4文字以下だ。ソニーが旧社名「東京通信工業」のままだったら、これだけの世界ブランドにはならなかったはずだ。

 米国なら長い名前は「JFK」や「GE」のように短縮語(アブリビエーション)を多用するが、短くて覚えやすい名前も多い。「アップル」も「グーグル」もそうだ。

 秀逸なのは「アマゾン(amazon)」。本来、通信販売事業とブラジルの大河には何の関係もないが、ロゴを良く見ると、「a」から「z」に矢印が出ている。つまり、「a to z」。何でも揃うという意味を込めている。

 CSR活動やNPO活動も、このように「短くて覚えやすい名前」が望ましい。それだけではなく、筆者が提唱する「ソーシャル・ブランディング」の観点から見ると、次の5つの要素が不可欠だろう。

 それは(1)ネーミングのほか、

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筆者

森摂

森摂(もり・せつ) ビジネス情報誌「オルタナ」編集長

環境とCSRと志のビジネス情報誌「オルタナ」編集長。東京外国語大学スペイン語学科を卒業後、日本経済新聞社入社。 流通経済部などを経て1998年-2001年ロサンゼルス支局長。2002年9月退社。同年10月、ジャーナリストのネットワークであるNPO法人ユナイテッド・フィーチャー・プレス(ufp)を設立、代表に就任。2006年9月、株式会社オルタナ設立、編集長に就任、現在に至る。主な著書に『ブランドのDNA』(日経ビジネス、片平秀貴・元東京大学教授と共著、2005年10月)など。訳書に、パタゴニア創業者イヴォン・シュイナードの経営論「社員をサーフィンに行かせよう」(東洋経済新報社、2007年3 月)。

※プロフィールは原則として、論座に最後に執筆した当時のものです

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