2014年06月10日
米国政府国防総省国防長官室は、毎年5月から6月に、中国の軍事情勢についての報告書を米国連邦議会に提出する。
今年も、先週6月5日に、Military and Security Developments Involving the People’s Republic of China for 2014(中華人民共和国に関連する軍事・国家安全保障の情勢展開、2014年版)と題する報告書が、例年のように公表された。http://www.defense.gov/pubs/2014_DoD_China_Report.pdf
同報告書は、中国の軍事支出が、2013年には5・7%の上昇と、長期持続的な増大ペースが維持され、その内容と軍事支出増大の意図が不透明であると非難している。
米国の非難に対して、中国政府外交部の6月6日付けの公式声明は、これ又例年のように、中国は主権国家として当たり前の防衛政策を展開しているに過ぎないとの趣旨で反論し、そんな報告書の公表は止めよと、米国の非難を一蹴している。
ストックホルム国際平和研究所の推計では、最近10年間では、中国の軍事支出は、年々の国民総生産(GDP)の2%程度で変わらない。この推計によると、昨年では、米国の比率は3・8%と比べると、半分程度に過ぎない。ちなみに、イギリスが2・3%、フランスが2・2%、日本が1・0%、ロシアは4・1%であったとされている。
しかし、中国経済は、米国、欧州、日本などの経済先進国に比べて、はるかに高い率での経済成長を続けて来たので、最近10年間で、中国の軍事支出の絶対額は170%も増えたと、同研究所では同時に推計している。
重要なのは、軍事支出の増大だけではなく、その中身である。中国が、軍事支出を急速に拡大する中で、通常戦力だけではなく、米国に対するのはもちろん、日本、韓国、台湾、東南アジア諸国に対する核抑止力を大きく充実させ
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