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日産・ダイムラー提携、スカイラインにベンツEクラスのエンジンという答え

永井隆 ジャーナリスト

 「互いにプライドは高い。開発現場では双方が衝突しながらつくりあげた」――。日産自動車の西川廣人副社長はこう話す。

 日産は高級スポーツセダン「スカイライン」に、独ダイムラー製の排気量2000ccターボエンジンを搭載した「2000GT-t」を追加し6月5日から発売を始めた。

 日産・ルノー連合とダイムラーが資本提携したのは2010年4月だが、ダイムラーのエンジンが日産の主力車種に載るのは、今回が初めて。西川氏は、最終の作り込みまでの間セッティングなどをめぐり、日産とダイムラーの技術陣が一歩も譲らずにぶつかり合ったことを明かしたのだ。

 搭載されたエンジンは「メルセデス・ベンツEクラス」に搭載されているのと同じタイプ。燃費性能はガソリン1リットル当たり13.6キロメートル、価格は383万4000円~456万8400円。「日本を代表する名車スカイラインに、ベンツのエンジン」の構図となった。

 新型スカイラインは今年2月、国内販売が始まったばかり。当初は3500ccエンジンのハイブリッド車(HV)のみのラインアップだった。HVモデルの燃費性能は同18.4キロメートル、価格は462万4560円~569万5920円。今回モデルの方が、かなり割安である。

 西川氏は会見で「ターボエンジンを追加して選択肢が広がった。(欧州車のシェアが高い国内の)プレミアム市場で存在感を示したい」と話した。

 日本市場を皮切りに、今後は米、中、欧州でも発売していく。ベンツ製エンジンは当初、輸入して栃木工場でスカイラインに組み込む。しかし、今秋には日産の米デカード工場(テネシー州)でのエンジン生産に切り替え、日産向けだけではなくダイムラーにも供給していく計画だ。

 エンジンは自動車の心臓部である。資本提携があるにせよ、日産はなぜダイムラー製エンジンの採用に踏み切ったのか。

 排気量を小さくしたエンジンにターボなどの過給機をつけ、

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