2014年06月19日
欧州の中央銀行は出口が見出しにくい、いわば迷路の政策に入り込んだ。
欧州中央銀行(ECB)は5日、追加の金融緩和策を決めた。政策金利を過去最低の年0.15%に引き下げたほか、市中の民間銀行が中央銀行に余剰資金を預ける預金にマイナス金利を導入した。マイナス金利はスウェーデンやデンマークで実績があるだけで、主要国の中央銀行では前例がない異例中の異例の措置である。
確かに欧州では、物価の下落傾向が続いている。通貨統合したユーロ圏18カ国のうち、ギリシャ、ポルトガル、スロバキア、キプロスの4カ国が、4月時点の消費者物価指数が前年比マイナスとなっている。
とくにギリシャが2013年3月以来、14カ月連続、キプロスが2013年10月以来、7カ月連続のマイナスを記録している。最大経済のドイツも2013年以降、2%を割り込み、最近では1%前後で推移している。
ユーロ圏失業率(季節調整済)は2011年7月以来、10%台で、直近の4月は11.7%、とくにギリシャ26.6%(3月)、スペイン25.1%、ポルトガル14.6%と高止まりをしている。深刻なのは25歳以下の若者の失業率(同)である。ユーロ圏で23.5%、ギリシャ、スペインでは2人に1人以上と、南欧諸国の失業率は若者の苦悩を示している。
ドラギECB総裁は、タカ派のドイツを抑え込み、非伝統的な緩和策の導入に踏み切ったことになる。
ギリシャ危機が混迷するなか、2011年11月、フランス出身のトルシェ総裁の後任として、イタリア出身のドラギ総裁が誕生した。恒久の安全網である欧州安定メカニズム(ESM)が創設される前で、金融システムの安定、ギリシャなどの国債買い入れと、金融危機に対する緊急対応で手腕を発揮した。
各国出身の理事で構成されるECBでは制度上、コンセンサスを重視することで、決断が遅れる特徴があり、
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