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なぜ今、集団的自衛権なのか――必要なら憲法改正がすじだ

榊原英資 (財)インド経済研究所理事長、エコノミスト

 安倍晋三政権が、集団的自衛権の行使容認に向けた環境整備を進めている。要するに、日本が直接攻撃を受けなくとも、アメリカなどの同盟国が武力攻撃を受けた際、自国への攻撃とみなして反撃できる権利を認めようというのだ。しかも、それを憲法解釈の変更よって行おうという。連立与党の公明党は慎重な姿勢もみせるが、今国会中に閣議決定を行って解釈を変更すべく根回しが進められている。

 しかし、憲法9条、あるいは前文や13条をどう読んでも、集団的自衛権は否定される結論にしかならない。(元法制局長官阪田雅裕、6月13日、朝日新聞)行使を解釈の変更で認めるというなら、それは憲法の無視だと阪田は論じている。政府や自民党は1972年の見解を引用して解釈変更可能だとしているが、解釈を変える論理としては不充分なものでまともな法律論ではない。

 集団的自衛権を新たに認めようというのは一つの政治的立場であり、それを安倍首相以下政府がとっていること自体は問題はない。もちろん、筆者をはじめ反対論は少なくないだろうが、それでもその主張をつらぬくということが政治的立場だというのなら堂々と議論をつくし、国民の判断を仰げばいいのだろう。

 しかし、それには憲法の改正が必要となる。日本国憲法は1946年11月3日に施行されて以来、全く改正されていない。しかも1946年は連合軍による占領下である。前文や9条のみならず、

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