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 ユーロを用いているヨーロッパ諸国、ユーロ圏が「日本化」するのではないかという議論が聞かれる。「日本化」するとは、90年代以降アベノミクス以前までの日本のように、デフレになり、長期に停滞するという意味である。

 ユーロ圏の消費者物価上昇率は、2012年の中ごろから低下を始め、現在では0.5%である。このトレンドが続けば、2015年にはマイナスになってしまう。だから、ユーロ圏がデフレになり、長期に停滞する可能性があるということだ。

 もちろん、ヨーロッパ中央銀行(ECB)が何もしていないという訳ではない。本年6月4日には、民間銀行がECBに預けている超過準備にマイナスの金利を付けることを決定した。

 すなわち、銀行がECBにお金を預ければECBに金利を払わなければならないということである。そうであれば、銀行はECBにお金を置いておかないで、貸出をするか、証券を買うかをするだろう。財政的に信頼されていない南欧諸国の国債を買えば、こられ国債の金利が低下して、ギリシャやスペインの苦境からの脱却を助けるだろう。

デフレはお金の量を減らしたから

 マイナス金利でユーロ圏がデフレから脱却できるのか、判断は難しいが、なぜユーロ圏がデフレに陥っているのかは明らかである。

 は2000年以降の主要国のマネタリーベース、中央銀行が直接コントロールできるお金の量を示したものである。09年8月のリーマンショック後、FRB、イングランド銀行、ECBがマネタリーベースを急激に伸ばしていたことが分かる。

 その中で、日本だけはほとんど伸ばしていなかった。だからデフレが続いていた訳だが、13年4月の黒田緩和以降、急激に伸ばしている。一方、ECBは12年の中ごろからマネタリーベースの伸びを抑え、日本が黒田緩和に踏み切ったころから急激にマネタリーベースを縮小している。

拡大

 お金の量が減ればデフレになるのは当然である。ECBがマネタリーベースを縮小、すなわち、量的緩和政策を反転させたからユーロ圏がデフレに陥りそうになっているのである。デフレになるのが嫌であれば、ECBが元の拡大策を採れば良いだけである。

 確かに、ECBには量的緩和をしにくい事情がある。量的緩和とは、国債を買って市場にお金を流すということである。日本銀行なら日本国債を買えば良い。しかし、ECBは ・・・ログインして読む
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筆者

原田泰

原田泰(はらだ・ゆたか) 原田泰(早稲田大学教授)

 早稲田大学教授。1974年東京大学卒業後、同年経済企画庁入庁、経済企画庁国民生活調査課長、同海外調査課長、財務省財務総合政策研究所次長などを経て、2012年4月から現職。「日本はなぜ貧しい人が多いのか」「世界経済 同時危機」(共著)「日本国の原則」(石橋湛山賞受賞)「デフレはなぜ怖いのか」「長期不況の理論と実証』(浜田宏一氏他共著)など、著書多数。政府の研究会にも多数参加。

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