2014年06月24日
ユーロを用いているヨーロッパ諸国、ユーロ圏が「日本化」するのではないかという議論が聞かれる。「日本化」するとは、90年代以降アベノミクス以前までの日本のように、デフレになり、長期に停滞するという意味である。
ユーロ圏の消費者物価上昇率は、2012年の中ごろから低下を始め、現在では0.5%である。このトレンドが続けば、2015年にはマイナスになってしまう。だから、ユーロ圏がデフレになり、長期に停滞する可能性があるということだ。
もちろん、ヨーロッパ中央銀行(ECB)が何もしていないという訳ではない。本年6月4日には、民間銀行がECBに預けている超過準備にマイナスの金利を付けることを決定した。
すなわち、銀行がECBにお金を預ければECBに金利を払わなければならないということである。そうであれば、銀行はECBにお金を置いておかないで、貸出をするか、証券を買うかをするだろう。財政的に信頼されていない南欧諸国の国債を買えば、こられ国債の金利が低下して、ギリシャやスペインの苦境からの脱却を助けるだろう。
マイナス金利でユーロ圏がデフレから脱却できるのか、判断は難しいが、なぜユーロ圏がデフレに陥っているのかは明らかである。
図は2000年以降の主要国のマネタリーベース、中央銀行が直接コントロールできるお金の量を示したものである。09年8月のリーマンショック後、FRB、イングランド銀行、ECBがマネタリーベースを急激に伸ばしていたことが分かる。
その中で、日本だけはほとんど伸ばしていなかった。だからデフレが続いていた訳だが、13年4月の黒田緩和以降、急激に伸ばしている。一方、ECBは12年の中ごろからマネタリーベースの伸びを抑え、日本が黒田緩和に踏み切ったころから急激にマネタリーベースを縮小している。
お金の量が減ればデフレになるのは当然である。ECBがマネタリーベースを縮小、すなわち、量的緩和政策を反転させたからユーロ圏がデフレに陥りそうになっているのである。デフレになるのが嫌であれば、ECBが元の拡大策を採れば良いだけである。
確かに、ECBには量的緩和をしにくい事情がある。量的緩和とは、国債を買って市場にお金を流すということである。日本銀行なら日本国債を買えば良い。しかし、ECBは
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