2014年07月14日
日本経済学会は、The Japanese Economic Reviewという季刊の英文学術雑誌を発行するとともに、経済理論の現実的かつ実際的な応用という要望に応えるためとして、『現代経済学の潮流』という書籍を1996年から毎年発刊している。
経済学の実際的応用という面では、90年代から日本経済が長期停滞しているのはなぜか、どうしたら良いのかという問いに答えることがもっとも求められていたと思うが、これまでの『潮流』では、そのような論文はほとんど掲載されていなかった。
ところが、その最新刊『現代経済学の潮流2014』(東洋経済新報社)の関西大学の本多佑三教授の巻頭論文「非伝統的金融政策の効果:日本の場合」は、現代日本経済学の反省ともいうべき内容になっている。巻頭論文は、慣行的に日本経済学会会長の会長就任講演を掲載することとなっており、これはThe Japanese Economic Review ,March 2014, Volume 65, Issue 1の巻頭講演論文”The Effectiveness of Nontraditional Monetary Policy,”とも同じである。
内容はタイトルから想像できる通り、2001年から06年3月にかけて日本銀行が採用した量的緩和政策の効果を分析したものである。日本銀行と日本経済学会に属する経済学者の主流は、これまで、金利がゼロに張り付いてしまえば金融政策にできることは何もなく、量的緩和は効果がないと主張してきていた。しかし、本論文は、その主張を真っ向から否定している。
日本経済学会は、2011年秋季大会において、「非伝統的金融政策の評価」というパネル討論を開催し、その効果が乏しいと主張している(その概要は『現代経済学の潮流2012』に収録されている)。しかし、本多論文は、
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